がん免疫療法コラム
生産拠点拡大でより身近になるCAR-T療法
CAR-T療法は全く新しいタイプの治療法
CAR-T療法とは、B細胞性のがんの治療法のひとつです。CAR-T療法を実施するための再生医療等製品としてキムリアが2019年3月に製造販売承認を受けています。
キムリアはB細胞性の腫瘍で多く見られるCD19と呼ばれる抗原を認識する受容体であるキメラ抗原受容体(CAR)を患者自身のT細胞へ導入します。導入されたT細胞を増殖させた後に患者へ点滴で静脈内投与されます。
キムリアにはいくつかの解決すべき課題が残されている
CAR-T療法は患者自身の細胞を改変、増殖させて体内へ戻すことで治療効果が期待できるという全く新しい治療法として注目されています。
その一方で、薬価が非常に高価であること、キムリアを用いた治療ができる医療機関やキムリアを製造する施設が非常に限られていることが課題となっていました。これらの課題により、今回の新たな製造施設が追加される前は、アメリカで製造されたキムリアが日本へ届けられていました。
キムリアの製造施設として追加されたのはFBRI
2020年10月29日、キムリアの新たな製造施設として公益財団法人神戸医療産業都市推進機構(FBRI)が追加されました。FBRIへのキムリア製造技術移転は2019年1月に完了しており、治験製品を製造した後に製造施設として追加されました。これにより、日本国内でキムリアの製造供給が可能となりました。今後、日本で使用されるキムリアは神戸とアメリカの2カ所で製造されます。
今後もキムリアによる治療が可能な施設およびキムリアの製造施設の拡大、追加が行われ、より身近な治療方法として普及することが期待されます。
[参考資料]
ノバルティス、あらたに神戸医療産業都市推進機構をキムリアの製造拠点に追加~キムリアの国内製造実現へ~ | ノバルティス | Novartis Japan