がん免疫療法コラム
次に承認が期待される免疫チェックポイント阻害剤3種類
国内未承認で開発中の免疫チェックポイント阻害剤は3種類
2014年に抗PD-1抗体であるオプジーボが承認されてから、日本では6種類の免疫チェックポイント阻害剤が承認されています。既に承認済みの6種類の薬剤は単剤での適用拡大や併用療法などの有効性や安全性に関する検証を継続することで、その価値をさらに大きくしています。一方で、まだ日本では承認されていない免疫チェックポイント阻害剤もあり、そのうち3つの薬剤が日本での承認を目指して開発を進めています。
抗CTLA4抗体: トレメリムマブ
アストラゼネカ社は、抗CTLA4抗体であるトレメリムマブを既に承認済みの抗PD-l1抗体との併用を基本として開発を進めています。2020年6月30日時点で、非小細胞肺がん、局限型小細胞肺がん、頭頚部がん、尿路上皮がん、肝臓がんに対して第3相試験を実施中です。また、固形がんを対象として第1相試験も実施しています。
抗PD-1抗体: セミプリマブ
2020年10月1日時点で、サノフィ社が開発中の抗PD-1抗体セミプリマブは子宮頸がんと皮膚扁平上皮がんを対象として第3相試験が行われています。いずれの疾患に対しても単剤での治療で有効性の検証しており、子宮頸がんおよび皮膚扁平上皮がんに対する臨床試験の終了予定時期はそれぞれ2023年6月30日および2026年6月30日となっています。また、非小細胞肺がんに対する第1相試験も実施中です。
抗PD-1抗体: スパルタリズマブ
スパルタリズマブはノバルティスファーマ社が開発を進めている抗PD-1抗体です。BRAF遺伝子変異陽性悪性黒色腫に対する国際的な第3相試験を実施していましたが、スパルタリズマブを含む併用療法で対象群と比べて十分な有効性を示すことができませんでした。ただ、METエクソン14スキッピング変異を有する進行非小細胞肺がんに対して、2020年6月29日に承認されたカプマチニブ(チロシンキナーゼ阻害剤)との併用療法での第2相試験を行っている最中で、続報が待たれています。
免疫チェックポイント阻害剤は現在も世界中で研究開発が進められており、今後もさらなる適用拡大や新薬の発見が期待されています。
[参考資料]
日本の開発パイプライン:プレスルーム | ノバルティス | Novartis Japan
日本における研究開発 – Sanofi in Japan