がん免疫療法コラム

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がんを引き起こすウイルス(2) Vol.70

がんの1割以上がウイルス感染と関係しています。特にHBV(B型肝炎ウイルス)やHCV(C型肝炎ウイルス)の感染による慢性肝疾患が、原発性肝臓がんの主要な原因です。

 

肝臓がんの原因となるウイルス

原発性肝臓がん――つまり、よそから転移してきたものではなく、肝臓で発生したがん――は主として肝細胞がんと呼ばれるものです。

肝細胞がんの発生する主な要因は、HBV(B型肝炎ウイルス)やHCV(C型肝炎ウイルス)によるものです。これらのウイルスが長い間、体内にウイルスが留まり持続感染を引き起こすことが原因です。

HBVについて言うと、持続感染状態のうち10~15%が慢性肝炎に、さらにその10~15%が肝硬変や肝がんに進行すると言われています。

これは、持続感染が続くと、肝細胞の炎症が起こり、細胞死と再生が長期にわたって繰り返されることが大きな原因です。この間、遺伝子の突然変異が蓄積していき、がんが発生すると考えられています。

もっとも、ウイルスの持続感染による細胞死と再生の繰り返しががん発生をもたらすにしても、ウイルス自体が、直接、がん発生に寄与している可能性もあります。

 

 

HBVワクチンの定期接種

これらのうち、HBVについては、2016 年 10 月 1 日から B 型肝炎ワクチンの定期接種が実施されるようになりました。対象は 2016 年 4 月 1 日以降に誕生したこどもで、0歳児の段階で接種を行います。

 

これは、HBV感染者が1歳未満の場合90%、1~4歳の場合は20~50%、それ以上の年齢では1%以下で持続感染状態に移行するためです。

もっとも、2016 年 3 月 31 日までに生まれた子供は接種を受けていないため、こうした子供の感染予防も重要になってきます。

また、台湾では以前からHBVワクチンの定期接種を行なっていますが、エスケープ変異株が発生していることが知られています。これは、HBs抗体結合領域にアミノ酸置換が生じた変異株です。エスケープ変異株では、ワクチンによる感染予防効果が大きく低下します。

 

まとめ

肝臓がんは、ウイルスによるものが大部分を占めています。これは持続感染を通してがんを発生させるため、感染を防ぐことが重要です。

定期接種などを通じて感染対策も進んできています。

もっとも、ウイルス以外の生活習慣病、飲酒なども肝臓がんの発生原因となります。また、ワクチン接種はエスケープ変異株なども生み出します。このため、まだまだ注意が必要です。

 

参考文献

国立感染症研究所「 B型肝炎ワクチンの定期接種について」(IASR Vol. 37 p. 156-157: 2016年8月号)

https://www.niid.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2347-iasr/related-articles/related-articles-438/6679-438r06.html

四柳宏「B 型肝炎ワクチン 定期接種化までの道のりと今後の課題」日本消化器学会雑誌第115巻第9号,777-780(2018)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/nisshoshi/115/9/115_777/_pdf/-char/en

吉崎智一「ウイルス感染症の発症機序」日本耳鼻咽喉科学会会報 第117巻第10号, 1245-1248 (2014)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/117/10/117_1245/_pdf

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