がん免疫療法コラム

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miRNAの検出によるステージ0の早期がん検出

◆マイクロRNA(miRNA)とは

miRNAは、RNAの一種で、遺伝子の発現を制御する役割を持つことが知られています。RNAとは、生体分子の一種であり、特にmRNAは、私たちの身体の中でタンパク質を作り出す時、すなわち遺伝子の発現に重要な役割を果たしています。そして遺伝子の発現は、その種類や量によって私たちの身体を構成する一つ一つの細胞の機能や運命を決定づけています。例えば、瞳や髪の色、血液型の違いだけでなく、がん細胞の特徴に至るまで、いずれも遺伝子の発現が関与しています。

miRNAによる遺伝子発現の制御は、mRNAを不安定化させたり、切断・分解させたりすることで、mRNAそのもの、またはmRNAからタンパク質を合成するプロセスに働きかけることで起こります。

 

◆miRNAと、がんの診断

がん細胞での遺伝子の発現は、正常細胞とは異なる特徴を持っています。一例として、がん細胞では増殖を制御するタンパク質が異常をきたし、正常細胞よりもよく増殖する能力を獲得した細胞となっています。これらタンパク質の量や質は、遺伝子の発現制御によって均衡が保たれていますが、その発現を制御する機能が破綻した時にこのような現象が生じます。

そして、miRNAもこの制御の一端を担っていることがわかっています。例えば、細胞増殖を促進させる特定の遺伝子(増殖因子Aとします)の発現が、あるmiRNA(miR-Aとします)によって抑制されているとすると、miR-Aの量が十分に多ければ、増殖因子Aの発現も抑制され、つまり細胞の増殖を抑えることが出来ます。しかしながら、miR-Aの量が何らかの原因で低下してしまうと、増殖因子Aの発現抑制が解除され、異常な細胞増殖、細胞のがん化を引き起こします。この現象を逆手に取り、miR-Aの量が通常よりも低下した時を捉えられれば、がん化を引き起こす前に、すなわち現存の検査技術では発見できない段階で気付くことが出来る、つまりmiRNAを超早期発見のためのバイオマーカーに利用できるのでは、と考えられるようになりました(図1)。

実際に、この技術を応用した検査が一部企業によって提供されていたり、研究開発が進められたりしています。今後一層、バイオマーカーとしてのmiRNAの解明が進んでいくことが期待されます。

図1. miRNA量(青線)とがんのステージ(引用元;ミアテストの特徴 株式会社ミルテル)

 

【引用】

  1. 実験医学  27 No. 8(5月号)2009, 1188-1193
  2. 生化学 第 87 巻第 4 号, 413‒421(2015)
  3. 株式会社ミルテル ミアテスト https://www.mirtel.co.jp/service/mir/

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