がん免疫療法コラム

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抜群のチームワークで「がんに勝つ!」《倉持式 6種複合免疫療法》 

多くのがん患者さんでは健康な方と比べ免疫細胞が少なくなっていることが分かっており、免疫力が低下していることが知られています。そこで考え出されたのが、患者さんの血液から免疫細胞を取り出し、体外で培養して数を増やし、同時に活性化させる「倉持式 6種複合免疫療法」です。

免疫細胞の間には異なった種類の細胞同士が連携するネットワークが形成されており、そのネットワークを使ってがん細胞を死滅させます。「倉持式 6種複合免疫療法」による効果は、この細胞間のネットワークを通じて6種類の免疫細胞の力を最大限に引き出すことで得られます。

では、本療法で用いる免疫細胞の種類と働きを見て行きましょう。

 

■メンバーの紹介

表1に本療法で用いる免疫細胞とその働きについて示しています。

効果発現までの過程として、まず、「樹状細胞」ががん細胞を見つけ、その情報を「ヘルパーT細胞」に伝えます。そして「ヘルパーT細胞」が「キラーT細胞(細胞障害性T細胞)」にがん細胞を攻撃するように指令を出し、次に「NK細胞」、「ガンマデルタT細胞」と「NKT細胞」に指令を出します。このように6つの細胞がそれぞれの役割を果たすことで効果を強め、がん細胞を死滅させます。

 

表1 6種複合免疫療法で用いる免疫細胞とその働き

リンパ球 T細胞 ヘルパーT細胞 免疫の司令塔。樹状細胞から異物の存在の情報を受け取り、キラーT細胞やNK細胞などに攻撃のサインを送る
キラーT細胞(細胞障害性T細胞) ヘルパーT細胞から指令を受け、がんの攻撃を行う
ガンマデルタT細胞 強力な抗腫瘍効果を持ち、がん細胞を排除する
NKT細胞⋆ キラーT細胞とNK細胞の両方の性質を備え、非常に強い殺傷能力を持つ
 NK細胞 免疫抑制細胞を除去もしくはその機能を低下させる薬物療法
 樹状細胞 体内に侵入した異物を見つけ、ヘルパーT細胞に伝える

NKT細胞がT細胞に区分されるのか否かについてはまだ結論が出ていないようですが、便宜上T細胞として区分しています。

■メンバーの攻撃力

表2には攻撃陣のがん細胞を攻撃する能力を示しています1)。1種類の細胞による攻撃では不十分なため、細胞が連携し、がん細胞を逃さずに攻撃するシステムを構築しています。

 

表2 各免疫細胞1個当たりのがん細胞への攻撃力

免疫細胞 1個の免疫細胞が攻撃できるがん細胞の数
キラーT細胞 10個
NK細胞 50個
ガンマデルタT細胞 100個
NKT細胞 150個

1種類より2種類と免疫細胞の種類を増やすごとに治療成績がアップし、6種類では78%の有効率(完全および部分寛解+長期不変)が認められています。副作用もほとんどありません。さらに治療も採血と点滴だけと肉体的にも負担の少ないことから、本療法は有用性の高い治療法と言えます。

  

参考文献

  1. 倉持恒雄,がん治療の第四の選択 5種複合免疫療法,2013

 

Vol.8

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