がん免疫療法コラム

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センチネル(見張り番)リンパ節とは?

■転移とは?

転移とは、腫瘍細胞が原発巣から離れて別の部位に移行し、そこで増殖して腫瘍を二次的に生じることです。

本来、分化した細胞はその組織の中で一生を終えますが、がん細胞は本来の組織から離れて別の部位に移行することができます。最初は浸潤であり、がん細胞が周囲の組織に浸み込むように広がっていきます。この場合、その先にリンパ管や血管(細静脈など)があると、がん細胞は管壁を突き破って管内に侵入し、管内の液の流れに乗ってさらに別の部位に移行します。これが転移です。

リンパ管を通って行く転移をリンパ行性転移、血管を通って行く転移を血行性転移と呼びます。下図は血行性転移のイメージです。がん細胞が血管外壁に取り付き、管壁を破って管内に侵入し、別の場所で管外に出て増殖(転移巣形成)する様子を表しています。

Jane Hurd (Illustrator) – This image was released by the National Cancer Institute, an agency part of the National Institutes of Health, with the ID 2446 (image)

 

■血行性転移

血行性転移が多く見られるのは肺や肝臓です。肺はガス交換(酸素⇔二酸化炭素)のために大量の血液が流れてきます。このため、他の部位で発生したがん細胞が血流に乗ってやってきて肺で増殖するケースがあるわけです。同様の理由で心臓への転移もあります。

肝臓も、消化管やすい臓などを流れた血液が集まり肝門脈を通って肝臓へと流れ込みます。このため、大腸がん、胃がん、膵がんなどの転移が起こりやすいのです。

 

■リンパ行性転移とリンパ節転移

リンパ管に入ったがん細胞はリンパ液に乗って移動しますが、体内には600ヶ所ものリンパ節があります。これは免疫細胞の末端基地のようなものですが、リンパ液に乗ったがん細胞は通常、ここで留まり、免疫系による攻撃を受けます。ただ、生き残った場合はリンパ節内で増殖します。これがリンパ節転移です。

したがって、リンパ行性転移は多くの場合、リンパ節転移を起こすわけです。

 

■センチネルリンパ節とは?

人間の場合、リンパ液には血流における心臓のようなポンプはありません。ただ、リンパ管には逆流防止弁があることもあり、リンパ液には一定の流れがあります。

このため、ある部位でがんが発生した場合、そのがん細胞が最初に移行しやすいリンパ節がわかります。これをセンチネルリンパ節と呼びます。センチネルとは「見張り番」という意味です。

なお、上記の意味ですから、センチネルリンパ節はどこかひとつのリンパ節を指すわけではなく、病巣の部位によって変わります。

かつては、がんが見つかった場合、そこから見て下流にあるリンパ節を一定の範囲ですべて切除していましたが、現在は、例えば、乳がんの場合、センチネルリンパ節を検査して、そこに転移がなければ、がんの病巣のみを切除する方法が行われるようになっています。

 

参考文献

  1. 日本胃癌学会編『胃癌治療ガイドライン』、2014年5月改訂【第4版】
  2. 乳がん手術に関する最近の考え方(乳がん.JP)

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