がん免疫療法コラム

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がん免疫療法を助ける腫瘍溶解性ウイルスの可能性

「腫瘍溶解性ウイルス」という名前をご存知でしょうか?ウイルスと聞くとあまりよくないイメージを持つ方もいらっしゃると思いますが、がん細胞のみを破壊することができる画期的なウイルスです。今回は、世界中で注目を集めていて、日本でも臨床試験が行われている腫瘍溶解性ウイルスについて紹介します。

 

腫瘍溶解性ウイルスとは?

一般的にウイルスはそれ自身で増殖ができず、動物の細胞に入り込むことで初めて増殖することができます。ウイルスには多くの種類がありますが、それぞれのウイルスによって入り込みやすい細胞や増殖しやすい細胞が異なります。この特徴を上手く利用したものが腫瘍溶解性ウイルスです。腫瘍溶解性ウイルスはがん細胞にのみ入り込む、もしくはがん細胞内でのみ増殖するように設計されています。そのため、がん細胞のみを破壊して正常細胞には悪さをしないという非常に優れた特徴を持っています。さらに、がん細胞が破壊された後に抗原となる物質が放出されることも分かっており、既存のがん免疫療法と併用することでより高い治療効果を得ることが期待されています。

 

腫瘍溶解性ウイルスの効果は?

腫瘍溶解性ウイルスは 2015 年に初めてアメリカで承認され、メラノーマを対象としています。日本では未だ承認には至っていませんが、メラノーマや膵臓がんなどを対象とした臨床試験が行われている最中で、免疫チェックポイント阻害剤と併用することでがん免疫療法を単独で実施するより高い抗腫瘍効果が得られることが分かってきました。また、メラノーマを対象とした臨床試験では、腫瘍溶解性ウイルスと免疫チェックポイント阻害剤を併用することで、免疫チェックポイント阻害剤単独時と比較して有意に無増悪生存期間が延長しただけでなく、重大な副作用も出ませんでした。つまり、がん免疫療法に腫瘍溶解性ウイルスを併用することでより高い有効性と安全性を持った治療が実現できる可能性を示しています。

 

まとめ

がん免疫療法の効果をより高めることが可能な腫瘍溶解性ウイルスは現在盛んに研究が行われています。近い将来、がん免疫療法に腫瘍溶解性ウイルスを併用した新しい治療法が誕生する日が来るかもしれません。

参考文献:

Sumimasa Nagai and Daisuke Sugiyama (2019) “Current Trends in Clinical Development of Gene and Cellular Therapeutic Products for Cancer in JapanClin. Ther., 41(1):174-184.

Jason Chesney et al., (2018) “Randomized, Open-Label Phase II Study Evaluating the Efficacy and Safety of Talimogene Laherparepvec in Combination With Ipilimumab Versus Ipilimumab Alone in Patients With Advanced, Unresectable Melanoma.J. Clin. Oncol., 36(17):1658-1667.

Hiroshi Fukuhara et al., (2016) “Oncolytic virus therapy: A new era of cancer treatment at dawnCancer Sci., 107(10):1373-1379.

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