がん免疫療法コラム

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免疫チェックポイント阻害剤とBMIの関係 

がん免疫療法によく用いられる薬として免疫チェックポイント阻害剤を耳にすることがあると思います。最近、この免疫チェックポイント阻害剤の効果に体格指数 (body mass index; BMI) が関係することが明らかになってきました。健康診断でも見かけるBMI。免疫チェックポイント阻害剤とどういう関係があるのでしょう。詳しく説明します。

BMI とは?

BMI は一般的に肥満度の指標として使われており、「体重(kg) ÷ 身長(m)の二乗」というシンプルな式で計算できます。日本では18.5〜25 未満が普通体重として位置づけられています。

BMI とT細胞の関係

免疫チェックポイント阻害剤は T 細胞特異的に存在するタンパク質 (programmed cell death-1; PD-1) を標的としており、PD-1 の働きを阻害することでがん細胞を攻撃することができます。最近、BMI が高い人の T 細胞には PD-1 が多く存在することが分かりました。PD-1 が多いということはがん細胞を攻撃しにくい状態であると言えます.

BMI と免疫チェックポイント阻害剤の効果について

最近、 BMI と薬の効果の関連を裏付けるような臨床試験結果がいくつか報告されています。日本では BMI が 20 より高い人に免疫チェックポイント阻害剤によるがん免疫療法を実施すると、無増悪生存率と全生存率が BMI 20 以下の人と比べて有意に高いことが分かっています。つまり、BMI が免疫チェックポイント阻害剤使用を決定する因子になる可能性があります.また、BMI は免疫チェックポイント阻害剤の副作用発現には関与しないことも別の臨床試験で分かっています。

まとめ

免疫チェックポイント阻害剤を用いたがん免疫療法は有効性と安全性が非常に高い治療法ですが、さらに有効性を向上させるような取り組みがなされており、今後もより良いがん免疫療法が出てくるかもしれません。

参考文献:

Ziming Wang et al., (2019) “Paradoxical effects of obesity on T cell function during tumor progression and PD-1 checkpoint blockadeNat.Med., 25(1):141-151.

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