がん免疫療法コラム

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ウイルスはどうやって細胞に侵入するか? Vol.61

ウイルスはどうやって細胞に侵入するか? Vol.61

■コロナウイルスの名前の由来

コロナウイルスは中国語では「冠状病毒」と言います。コロナというのも太陽のまわりに広がる太陽コロナではなく、クラウン(王冠)の意味のラテン語です。つまり、コロナウイルスとは王冠ウイルスなのです。

それでは王冠ウイルスとはなぜでしょう。王冠のかたちでもしているのでしょうか?

コロナウイルスは小さなタンパク質の殻(カプシド)の中にRNA(リボ核酸)が収まった構造体です。

カプシドの外側にさらに膜(エンベロープ)があり、スパイクと呼ばれる突起がたくさんエンベロープに刺さっています。

実はこのスパイクの先端が膨らんでいて、王冠というか花びらのような形をしています。それでコロナウイルスというのです。

ちなみに、エンベロープに突起のあるウイルスは他にもいます。例えば、インフルエンザウイルスやヒト免疫不全ウイルス(HIV)などです。それぞれ突起の形状などに特徴があります。

 

■ウイルスはどうやって細胞に侵入するのか?

ウイルスは細胞の中で増殖します。つまり、細胞の中に入り込むことがウイルスにとっては非常に重要です。

空中を漂い、人間の身体の表面に付着したとしてもそのままでは増殖できません。通常、皮膚表面には表皮があり容易に侵入できるものではないからです。まずは粘膜など入りやすい細胞がいるところに着地しなければなりません。

それでは、手頃な細胞が周りにあったとしてどうやって細胞の中に入るのでしょう。

一般的には2つの方法があります。ひとつは、細胞の表面に付着し、エンベロープが細胞の細胞膜と融合し、中身だけが細胞の内部に入り込む方法です。もうひとつは、細胞に食べてもらう方法です。

前者の場合、コロナウイルスでは、前述のコロナ状の部分が細胞表面のレセプターに付着して細胞の中に入り込みます。

後者(細胞に食べてもらう)の方法は次のようなものです。

細胞にはエンドサイトーシスという細胞外の物質を細胞内に取り込む働きがあります。樹状細胞やマクロファージはこのエンドサイトーシスにより外部の異物を取り込みます。取り込まれた異物は小胞や食胞と呼ばれるものの中に入ったまま細胞内を移動し、最終的に小胞はリソソームと融合します。

リソソームの中には消化酵素などがあるため通常、異物は分解されてしまいます。しかし、うまく消化を逃れるなどして、細胞質の中に逃げてしまうのです。

 

■ウイルスの侵入方法を使ったがん治療法

コロナウイルスではありませんが、ウイルスの侵入を使ってがん細胞を殺す試みもなされています。

がん細胞でのみ増殖するウイルスをつくり、それを体内に送り込みます。このウイルスは通常の細胞では増殖できませんが、がん細胞内で増殖するように遺伝子を操作しておきます。その結果、正常細胞には害を与えずがん細胞の中でのみ増殖し、細胞を殺して細胞外に出てきます。これでがん細胞を殺してしまおうという狙いです。

 

参考文献

1.田口 文広「コロナウイルスの細胞侵入機構:病原性発現との関連」ウイルス第56巻 2 号 pp.165-172, 2006

2.宮内 浩典「エンベロープウイルスの宿主細胞への侵入過程」ウイルス 第59 巻 第2 号,pp.205-214,2009

3.ひと目でわかるウイルスと病気― ウイルスを知る – Medical Tribune (special edition), 2014 https://medical-tribune.co.jp/mtpronews/se1412/se_1412_p2-4.pdf

 

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