がん免疫療法コラム

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ビタミンDでがんの発現を予防できるか? <Part.1> Vol.56

現在、栄養に関する情報量は過剰と言える程巷にあふれ、色々なサプリメントが売られています。それらを利用されている方も多く、多少の偏りはあっても、絶対的に不足している栄養素はないとお考えではないでしょうか。しかし、最近になって、子どもの間で「くる病」の割合が増加し、その原因が「ビタミンD」の不足であることが話題になったのはご存じでしょうか?

実はこれは子供に限った話ではありません。日本人、さらに言えば世界中の人々の間で「ビタミンD」が不足しているという研究結果が報告されているのです。特に、ほとんどの「がん患者」が不足よりも重い、「ビタミンD欠乏症」であると報告されています。

「ビタミンD」はカルシウムや骨の代謝に関連が深く、腸管でのカルシウム吸収を促すため、骨粗鬆症との関連性で注目されることの多いビタミンですが、他のビタミンに比べてあまり注目されて来ませんでした。ところが、近年、「ビタミンD欠乏症」と「がん」との関係が注目されており、「がん」と「ビタミンD」に関する英語論文は、ここ数年で毎年500本以上もあると言われています。

そこで「ビタミンD」の不足・欠乏が、「がん」の発現に及ぼす影響について、現時点でどのように評価されているのか見てみたいと思います。また、「免疫」との関係についても触れたいと思います。

■ビタミンDとがん

近年の実験研究から、細胞増殖を抑えたり、アポトーシス(細胞死)を促進したり、がん細胞の血管新生を抑制することにより、がんを予防する効果があるのではないかと期待され、世界中で「ビタミンD」の「がん」に対する効果について研究が行われています。

国立がん研究センターの研究結果では、血中ビタミンDの濃度が上昇すると、がんを発症するリスクが低下することが示されています。ところが、「血中ビタミンD濃度」がある程度のレベル以上になると、がん罹患リスクの更なる低下が見られませんでした。「血中ビタミンD濃度」が一定のレベルを超えるとそれ以上のがん予防効果は期待できない可能性が指摘されています。

また、個別の「がん」の発生リスクとの関係についても調べられており、「血中ビタミンD濃度」が低いと「直腸がん」のリスクが高いという結果が得られています。しかし、残念ながら「大腸がん」や「前立腺がん」に関しては、「血中ビタミンD濃度」とリスクとの間に関連は認められていません。

海外においても、体内の「ビタミンD」が発がんリスクに影響を与え、「大腸がん」、「前立腺がん」および「乳がん」の予防を示唆する研究結果が報告されています。しかし、逆に影響を与えないとした研究結果も報告されており、一貫性のあるエビデンスが集積しているとは言い難いのが現状のようです。

 

厚生労働省の「統合医療」情報発信サイトでは、「がん」に対する「ビタミンD」の予防効果に関して、「低ビタミンD状態」は、「がん」のリスクを増大させるのか、「高ビタミンD状態」は、「がん」を予防するのか、について語るには時期尚早である旨述べられています。この件に関して関心はあるものの、さらなるエビデンスの集積を静観する構えのようです。

Part.2では「ビタミンD」と「免疫」の関係、そしてがん治療に与える影響にについて見て行きたいと思います。

 

(参考文献)

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