がん免疫療法コラム

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自分の免疫細胞を養子に出す!?《免疫細胞療法》 

「免疫細胞療法」とは、患者さんの体内からリンパ球や樹状細胞などの免疫細胞を取り出し、体外で培養しながらがん細胞に対する攻撃力を高め、再び体内に戻す治療法のことです。このように一旦、免疫細胞を体内(生家)から一度体外へ出して活性化(育ての家へ養子に出す)して戻すことから、「養子免疫療法」とも呼ばれています。用語を覚える必要はありませんが、自分の免疫細胞を子供に例え、一時的にですが、我が子を外に出す養子的な行いをする治療法と覚えておくとよいかも知れません。また、この方法は患者さん自身の細胞を用いるため個別療法として位置づけられます。

以下に主なものを列挙します。

■活性化自己リンパ球療法(LAK療法)

体内のリンパ球を取り出し、体外で活性化するとともに培養して増やし、それを患者さんの体内に戻してがんを攻撃させる方法です。免疫細胞療法の中で最も広く行われている治療法の一つです。

■活性化NK細胞療法

体内のNK細胞だけを取り出し、体外で活性化するとともに培養して増やし、それを患者さんの体内に戻してがんを攻撃させる方法です。

■樹状細胞ワクチン療法

血液から分離した樹状細胞を培養した後、T細胞などにがんの情報を伝える能力を高めてから再び体に戻します。手術時に取り出された患者さんのがん細胞、またはがん細胞の目印を人工的に作ったもの(ペプチドなど)を一緒に培養することにより、樹状細胞のがんの情報を伝える能力を高めます。

■がん抗原特異的T細胞療法

体内のT細胞を取り出し、がん細胞を含む標的となるタンパクが発現している細胞を特異的に攻撃するようT細胞に遺伝子操作などの改良を加えて患者さんの体内に戻す治療法です。

CAR-T細胞療法(キメラ抗原受容体発現T細胞療法)が代表として挙げられます。この治療法は米国では昨年、欧州では本年に承認が取得されています。本邦においても本年4月に既に承認申請が行われており、承認された場合、国が認める初めての免疫細胞療法になります。次世代の免疫療法として注目を集めています。

 

免疫細胞療法は現時点では国が承認した治療ではないため、培養の方法、培養するリンパ球の種類や活性化の程度などが医療機関によって異なります。従って、受診する医療機関を検討する場合には、治療法の有効性や安全性について科学的な根拠やデータを基にした説明が受けられるなど、治療の選択について適切な情報を提供している医療機関を選ぶことが大切です。

次回は免疫細胞療法の一つである「倉持式 6種複合免疫療法」についてご説明します。

 

Vol.7

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