がん免疫療法コラム

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ヘルスリテラシーとその意義 《Part2》 Vol.54

前回、日本人の「ヘルスリテラシー」が低いという話をしましたが、その根拠として「ヘルスリテラシー」に関してEU諸国と比較した調査結果があります。まずはその結果から見て行きましょう。

■日本人の「ヘルスリテラシー」のレベルは?

「ヘルスケア入手」「ヘルスケア理解」「ヘルスケア評価」「ヘルスケア活用」などの47項目を点数化(50点満点)し、EU8か国(オーストリア、ブルガリア、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、オランダ、ポーランド、スペイン)と日本を比較しています。

その結果、EU8か国の平均が「33.8」に対して日本は「25.3」でした。
さらに「ヘルスリテラシー」に「問題がある人の割合」は、EUの「47.6%」に対して日本は「85.4%」でした。

残念ながらこれらの結果は、日本人の「ヘルシリテラシー」がEUの在住の人たちより低いことを物語っています。では、なぜ、日本人の「ヘルシリテラシー」は低いのでしょうか?

 

■なぜ、日本人は「ヘルスリテラシー」が低いのか

結論から言いますと、まず、日本の「プライマリ・ケア」の不十分さが挙げられています。また、患者は「医師から言われたことを理解するのは」難しいと感じており、医師と患者との意思疎通が不十分であることも理由の1つであると考えられています。

「プライマリ・ケア」とは、「身近にあって、真っ先に何でも相談にのってくれる医師や医療」であり、具体的には、一般的な外来診療のことで、主に「かかりつけ医」や「家庭医」が行う診療を意味します。本邦においては、2018年4月から「かかりつけ医制度」が始まりましたが、まだ浸透していないのが現状です。

しかし、ここでは「かかりつけ医」がいるかいないかという点もさることながら、医師との付き合い方という点にも目を向ける必要があるでしょう。つまり、診察をどのように受けるかということが、とても大切ではないかということです。そこには、「ヘルシリテラシー」を高めるための「カギ」となるものがあるように思います。

 

■「ヘルスリテラシー」を高めるには

◆個人での取り組み

ここに、患者が診察を受ける際に参考にすると良い資料があります。NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コルム)によって作成された「新 医者にかかる10箇条」を表1に示しています。これは医師会や保健所、あるいは自治体のホームページなどで紹介されているので、ご存じの方もいらっしゃるかも知れません。

                                 
まず、患者自身が「自覚症状」を把握し、そして、それを説明する準備が必要とされています。症状について調べたりする必要も出て来るでしょう。さらに、医療機関側で実施される検査結果などから導き出される「医師の見解」を「他覚所見」と言いますが、これを可能な限り理解しようとする姿勢が求められています。医師の見解を聞き、対話を通して病気に対する理解を深め、最終的に治療法を選択するのは患者自身であるということが示されています。

まとめると「自覚症状」を把握し、「他覚所見」を理解し、それらを基に医師との対話を通して「自らが治療法の選択などの意思決定を行う」となります。まさに、これを行う能力が「ヘルスリテラシー」です。しかし、残念ながら現時点では、個人が何をすれば「ヘルシリテラシー」を高めることができるのか、という問いに対する明確な答えはないようです。だからこそ、医療機関を利用する際には、このような具体性のある指針に従って、医師との十分な意思疎通を試みる価値は十分にあると思います。

 

◆社会全体での取り組み

以上のような試みを個人レベルで実施することは必要だと思いますが、しかしながら個人のみでは限界があるのも事実でしょう。これは社会全体での課題として捉えるべきであり、より広く活動が行われるべき事象です。実際には、以前から健康教育という形で学校や職場、地域などで、様々な人々を対象に活動が行われてきました。

しかし、まだ、十分な成果が得られていないのが現実です。これは対象者に対して、必要とされる活動や支援が明確ではなかったことが理由として挙げられています。そこで「ヘルシリテラシー」という共通の概念を浸透させることによって、対象者にとって必要な活動や支援を示し、現在行われている健康教育への取り組みがさらに深化することが期待されています。

 

参考文献

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