がん免疫療法コラム

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ヘルスリテラシーとその意義 《Part.1》 

思い起こしていただきたいのですが、今までにこのコラムの内容が少し難しいなと感じたことはあったのではないでしょうか?恐らく、取っ付きにくい内容もあったのではないかと思います。医療が進歩して様々なことが解明されることはとても喜ばしいことですが、その一方で、それらを理解すことは一般の方にとっては一苦労ということはよくある事ではないかと思います。そこで今回は、日々刷新されていく医療情報に対する理解を助け、自身の健康を守る一助となる「ヘルスリテラシー」という概念について考えてみたいと思います。

■ヘルスリテラシーとは

最近、「メディアリテラシー」、「ITリテラシー」や「金融リテラシー」など「●●リテラシー」という言葉をよく目や耳にしますが、「ヘルスリテラシー」という言葉はご存じでしょうか?聞いた事がない、聞いた事はあるが馴染みが薄いと感じられている方が多いかも知れません。「リテラシ―」は「letter=文字」に由来し、読み書きができる能力や理解力、得られた知識などの活用を意味しています。

「ヘルスリテラシー」とは、健康や医療に関する情報を入手して理解し、そしてそれらを活用する力のことを言います。この活用とは、入手した情報を使って「より良い選択をする」ことを意味します。つまり、「ヘルスリテラシー」を高めることで、関連した情報を入手して理解を深め、複数ある検査や治療法などを受けるあたり、より良い選択をする手助けとなり、結果的に「自助」へとつながります。さらに「ヘルスリテラシー」を高め、それ応用することで、人とのコミュニケーションや働きかけを通じて「共助」へと導くことも可能にします。

以下には「ヘルスリテラシー」の定義を記載します。

◇ヘルスリテラシーの定義◇
WHOの基準では「ヘルスリテラシーは、健康を増進し、維持するための方法で、情報へのアクセスを獲得し、理解し、情報を活用するための個人の動機と能力を規定する、認知的、社会的技能を表わすと定義されています。

 

■ヘルスリテラシーが「不十分」である場合の影響

この「ヘルスリテラシー」が「不十分」である場合には、有用な情報を入手して利用することができず、また医療機関などと上手くコミュニケーションがとれないなど様々な問題が生じることが指摘されています。
具体的な影響としては、以下のような事柄が挙げられています。

・予防サービス(マンモグラフィー、インフルエンザ予防接種など)を利用しない
・病気などの初期の兆候に気づきにくい
・救急サービスを利用する割合が高い
・慢性的な病気になった場合、その管理が苦手で、入院する割合が高い
・死亡率が高い
など

これは個人が辛い思いをするだけではなく、全体として医療コストの高騰にもつながります。

逆に「ヘルスリテラシー」を高めることは健康状態の改善に有用であることが報告されており、がんや心筋梗塞、脳卒中などの生活習慣病の管理にも効果的であると考えられています。

 

以上のように「ヘルスリテラシー」が「不十分」である場合のデメリットや、逆に「ヘルスリテラシー」が高い場合のメリットが認知され、国際的に「ヘルスリテラシー」への関心は高まっています。しかし、日本ではまだその関心が高いとは言えないのが現状です。EU諸国に比べ、残念ながら日本人の「ヘルスリテラシー」は低いという研究結果が明らかになっています。

次回は、なぜ、日本人の「ヘルスリテラシー」が低いのかという理由と「ヘルスリテラシー」を高める方法などについて見て行きたいと思います。

 

参考文献

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