がん免疫療法コラム

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抗体の利用と抗体医薬品 【抗体医薬品の作製】 《Part.5》  

今まで抗体の作用からそれを応用した抗体医薬品について見て来ましたが、今回はその抗体医薬品がどのように作られるのかという点に注目してみたいと思います。
抗体医薬品ではモノクローナル抗体と呼ばれる抗体が使われていますが、まずは、そのモノクローナル抗体とはどのようなものなのか、そしてどのように作製されるのかについて見て行きましょう。

■どうやって抗原にピッタリ合う抗体を作るのか?

◆ポリクローナル抗体とは

まず、マウスに標的となる「抗原」を投与します。マウスの体内では、投与された「抗原」を「B細胞」が認識して増殖します。そして、さらに「B細胞」は活性化され、「抗体」をどんどんと産生するようになります。しかし、その状態で産生される「抗体」は、特異性がバラバラの混合物であり、「抗原」と弱い結合しかできないものや全く結合できないものが含まれています。この質的に不揃いな状態の「抗体」を「ポリクローナル抗体」と呼びます。

しかし、このままでは効果にバラツキが出てしまうという質的な問題と、B細胞には寿命があるため、同じ種類の「抗体」を大量に作り出すことができないという量的な問題があります。従って、このままでは医薬品として使用することはできません。

◆モノクローナル抗体とは

こうした問題点を解決するために、細胞融合技術を免疫細胞に対して応用した方法が考案されました。それは、B細胞にミエローマ細胞という無限に増え続ける能力を持つ骨髄腫由来細胞を融合させるという方法です。この方法で作り出された細胞を「ハイブリドーマ」と呼び、「抗体」を無限に増殖させることが可能となりました。しかし、B細胞ごとに「ハイブリドーマ」が作られるので、標的の「抗原」と強く結合する「抗体」を産生する「ハイブリドーマ」を選び出す必要があります。そして、選ばれた「ハイブリドーマ」から作り出される単一の性質を持つ「抗体」を「モノクローナル抗体」と呼びます。

 

■モノクローナル抗体の改良

「モノクローナル抗体」には4つの種類があります。1つ目が「マウス抗体」、2つ目が「キメラ抗体」、3つ目が「ヒト化抗体」、そして4つ目が「完全ヒト抗体」です。
1つ目の「マウス抗体」はヒトの体内では異物と見なされ、これに対する「抗体」が作られてしまうことから安全性に問題があることがわかりました。そこで「マウス抗体」をヒトの抗体に置き換えていく技術が導入され、マウス由来の部位が1/3まで削減された「キメラ抗体」、同じく1/10以下である「ヒト化抗体」、そしてマウス由来の部位が全くない「完全ヒト抗体」が作製されるに至りました。
現在、本邦で承認されている「抗体医薬品」の多くが「ヒト化抗体」または「完全ヒト抗体」です。

 

以上、「抗体」の作製について見て来ましたが、「モノクローナル抗体」の作製には高いレベルの技術が必要であり、また、時間もかかります。これが結果として「抗体医薬品」を高価なものにしている理由の1つであり、今後の課題と言えるでしょう。
しかし、特許が切れたものであれば他の医薬品と同じく、ジェネリック医薬品が発売されれば安くなるはずです。実際に「抗体医薬品」のジェネリック医薬品は「バイオ後続品(バイオシミラー)」と呼ばれ、既に販売されています。しかし、この「バイオシミラー」は他のジェネリック医薬品と区別され、特殊な位置づけになっています。次回はその理由を含め、「バイオシミラー」について見て行きたいと思います。

 

参考文献

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