がん免疫療法コラム

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免疫の重要アイテム 【サイトカイン】  Vol.45

今更ながらですが、みなんさ、免疫と聞いてどういう印象をお持ちでしょうか。難しいというか、とても複雑という印象をお持ちの方が多いのではないでしょうか。その複雑さは、免疫細胞の数が多いことが理由の1つだと思います。そしてもう一つは、免疫細胞に関連した物質の多さにあると思います。ゲームに例えれば、登場人物が多く、そしてアイテムが豊富であることが複雑さを演出していると言えます。そのアイテムの中心とも言えるのが、生体内の情報伝達分子であるサイトカインでしょう。何度となくサイトカインという名称を本コラムでも使ってきましたが、それが一体どういうものであるかについて、今回のコラムで見て行きたいと思います。数が相当数ありますので、その概略をお伝えします。

■サイトカインとその役割

「サイトカイン」はタンパク質で出来ており、主に白血球などの免疫系の細胞から産生・分泌されます。「サイトカイン」の主な役割は免疫細胞に働きかけて、免疫細胞を活性化したり、呼び集めたりすることです。さらに呼び集められた免疫細胞が、同じように「サイトカイン」を使って他の免疫細胞に働きかけます。このように「サイトカイン」は、免疫細胞の仲立ちをすることで「がん」や「病原体」などとの戦いに役立っています。

もう少し具体的に言うと、免疫細胞から産生・分泌された「サイトカイン」は、その近くにある免疫細胞を含む他の細胞に作用して、増殖、分化、活性化、細胞死を起こすように促します。免疫細胞に対しては「がん」や「病原体」にたどり着くように誘導します。因みに、自給自足的な形で産生・分泌した細胞自身に「サイトカイン」が作用する場合もあります。

分泌される量は極めて微量ですが、「サイトカイン」同士で互いに連関した作用を持ち、ネットワークを形成しています。そのネットワークによりお互いが協力したり(協調)、時にはある「サイトカイン」の作用を他の「サイトカイン」が阻害することもあります(拮抗)。また、1つの「サイトカイン」が複数の役割を担っている場合(多機能)や、逆に複数の「サイトカイン」が似たような役割を担っている場合(重複)もあります。このように「サイトカイン」の役割は複雑で多岐にわたります。しかし、そのお蔭で様々な免疫反応が円滑かつ安定的に進み、必要がなくなれば速やかに反応が終息するのです。

 

■炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカイン

「サイトカイン」には、「炎症性サイトカイン」と「抗炎症性のサイトカイン」と称するものがあります。「炎症性サイトカイン」はその名の通り、炎症を促す方向に働き、IL-1やIL-6,TNF-α(表1)などを言います。「抗炎症性サイトカイン」は逆に炎症を抑える方向に働き、IL-10やTGF-βなどのことを言います。つまり、「炎症性サイトカイン」と「抗炎症性サイトカイン」はアクセルとブレーキの関係になっています。

「炎症性サイトカイン」が「マクロファージ」などの食細胞と「Th1細胞(ヘルパーT細胞の亜群)」から、「抗炎症性のサイトカイン」は「Th2細胞(ヘルパーT細胞の亜群)」からそれぞれ産生されます。

「サイトカイン」の量が微量であることや、「炎症性サイトカイン」と「抗炎症性サイトカイン」がアクセルとブレーキの関係になっているのは、こうすることで不都合が起きないように制御するためと考えられます。このアクセルとブレーキのバランスが崩れると自己免疫疾患などを引き起こすことが知られています。

 

「サイトカイン」の種類や作用について「表1」にまとめておきますので、参照してください。

 

表1 サイトカインの種類と働き

 

参考文献

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