がん免疫療法コラム

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これからの「がん免疫療法」 《個別化と複合》 Vol.4

これからの「がん免疫療法」の流れとしては2つあると考えられます。一つは患者さんの個々に合わせた治療を提供する、いわゆる個別化医療です。もう一つは、他の「がん免疫療法」との組み合わせによって複合的にがん免疫療法を行い、治療効果を向上させる流れです。

 

■バイオマーカーと個別化医療(プレシジョン医療)

すでにいくつかの分子標的薬は、その使用前に診断薬としてバイオマーカーを使い、患者さんを選択してから用いられています。診断と治療の融合が唱えられ、薬剤の開発とセットでバイオマーカーの開発を行うという考え方が広く浸透してきています。これは「がん免疫療法」も同様であり、免疫療法の効果が期待できる患者さんを選び出す方法を開発する重要性が高まっています。なぜなら、免疫療法はすべての患者さんに有効というわけではなく、現時点では効果がない患者さんも多いからです。個別化医療への第一歩として、免疫療法においてもバイオマーカーの確立が重要な課題となっています。

 

■複合的がん免疫療法とは

免疫細胞ががん細胞を認識して退治するサイクルを免疫応答サイクルと呼んでいます。がん細胞が死滅することにより新たながん抗原が放出され、そのがん抗原を基にT細胞が活性化されます。その後、T細胞はがん細胞を退治するためにがん細胞へと集められ、がん細胞を死滅させます。

複合的がん免疫療法とは、他の免疫療法やがん治療薬などをうまく併用(複合)することで免疫応答サイクルを作動させ、免疫細胞を活性化させてがんを退治するというものです(図1)。

図1 免疫応答サイクルと期待される併用薬・治療の作用ポイント(文献1改変)

 

1種類の薬剤ではこのサイクルに与える影響は小さくとも、表1のように複数を組み合わせることにより効果的にサイクルを動かすことができるのはないかと考えられています1)

 

表1 複合的がん免疫療法として考えられる組合せ

基軸となる薬剤 併用薬および治療

免疫チェックポイント阻害薬

(ICI)

A  免疫チェックポイント阻害薬(ICI)
B  従来のがん治療:従来型抗がん剤または放射線療法
C  分子標的薬
D  免疫抑制細胞を除去もしくはその機能を低下させる薬物療法
E  CAR-T細胞療法*

*CAR-T細胞療法:免疫細胞を一旦体の外に出して活性化させた後、それを体内に戻す方法です。本年4月に本邦において申請されています2)

 

国内において免疫チェックポイント阻害抗体の「オプジーボ」と「ヤーボイ」との併用療法がメラノーマと腎細胞がんに対し承認を取得しています。複合的がん免疫療法はその確立へ歩を進めつつあります。免疫バイオマーカーなどの診断薬の開発と複合的がん免疫療法の確立による診断と治療の融合が、個別化医療の実現へと導いてくれるものと期待されています。

 

参考文献

  1. 北野滋久, これからの免疫療法の話をしよう, Cancer Board Square, vol.3, no.3, 488-493, 2017
  2. ノバルティスファーマ株式会社, プレスリリース, 24 April, 2018

 

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