がん免疫療法コラム

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躍進!「がん免疫療法」のここが「すごい」!! Vol.2

がん免疫療法の歴史は古く120年も前から研究されてきました。しかし、残念ながら期待したほどの効果は証明されず、手術、放射線治療、抗がん剤治療に次ぐ第4の位置づけとされ、がん治療の中では日陰の存在でした。これまでのがん免疫療法の取り組みは、もっぱら体の免疫を全体的に高めようとする「非特異的」な免疫療法が中心でした。

 

■発想の転換「非特異的」から「特異的」へ

では、今までの「がん免疫療法」はなぜ効果的ではなかったのでしょうか。その理由の一つはがん細胞にありました。がん細胞はリンパ球の一つであるTリンパ球に敵と認識されないようにTリンパ球とうまく手を握ります。これは比喩的な意味ではなく、実際に両者には抗体という手のようなものが細胞から出ており、その手を握り合うのです。そして何と手を握り合っている間はTリンパ球はがん細胞を敵とは認識しないのです。つまり不活化されてしまうのです。

しかし、逆に何者かが先にこの手を握ってしまえば、Tリンパ球はがん細胞の手を握らずに済みます。そして活性化された状態となり、がん細胞を敵として認識し攻撃を始めます。もうお気づきかも知れませんが、がん細胞と手を握らせないようにTリンパ球またはがん細胞と先に手を握ってしまうその者こそが、オプジーボを初めとした免疫チェックポイント阻害薬(ICI)なのです。このようにピンポイントでTリンパ球のような免疫細胞を活性することを「特異的」と呼び、「非特異的」な免疫療法と区別しています。これまでの「がん免疫療法」はTリンパ球が不活化された状態にもかかわらず、ひたすら免疫を賦活しようとしていたため効果が認められなかったものと考えられます。この「非特異的」から「特異的」へ大きくシフトした点がICIの「すごい」ところであり、一躍脚光を浴びることになりました。

 

■免疫チェックポイント阻害剤の特徴

また、ICIは他の抗がん剤では見られないような効果もあります。一般的な抗がん剤は一時的に改善してもその効果は持続せず、患者さんは最終的にはがんで亡くなってしまいます。ところが、一部の患者さんで3年生、5年、10年と長期の生存が認められたのです。これは「すごい」ことです。昭和大学 角田卓也教授がこの現象をカンガルーテール現象と名づけ、その著書の中でがん免疫療法の画期的な特徴として紹介しています1)(図1)。

このように新たに「特異的」な治療法が加わり、「がん免疫療法」は大きな転換点を迎えたと言えます。これを足掛かりに「がん免疫療法」がどのような発展を遂げていくのか大いに期待されるところです。

図1 カンガルーテール現象 (文献1改変)  

 

参考文献

  1. 角田卓也, 進行がんは「免疫」で治す世界が認めたがん治療, 2017
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