がん免疫療法コラム

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早わかり「がん免疫療法」 《キーポイントはリンパ球》 Vol.1

今年のノーベル生理学・医学賞を京都大学の本庶佑教授が受賞したことで、オプジーボを初めとする免疫チェックポイント阻害薬の作用メカニズムがクローズアップされ、同時に「がん免疫療法」自体が脚光を浴びることになりました。「がん免疫療法」と聞いて難しそうだなと思われている方も多いと思いますが、ここではキーとなるポイントだけに絞って説明します。

 

■免疫の理解はリンパ球から

体には異物を認識し、その異物の侵入を防いだり、侵入してきた異物を排除したりして体を守る「免疫」という仕組みが備わっています。その「免疫」で中心的な役割を果たしているのが白血球です。直接、異物を排除するのも白血球ですし、白血球に異物の侵入などの情報を伝えるといった重要な役目を果たす樹状(じゅじょう)細胞も白血球です。その白血球は主に好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球という5種類の細胞に分けられます。「がん免疫療法」を理解する上で最も大切なのはリンパ球です。では、その働きについて見ていきましょう。

 

■リンパ球の役割

リンパ球は骨髄、胸腺、リンパ節などのリンパ組織に存在し、ウイルスなどの外敵や腫瘍などの異物を攻撃します。細分化すると主にBリンパ球、NK細胞およびTリンパ球の3つに分けられ、Bリンパ球は異物を排除する抗体というオーダーメイドの砲弾を作り、ピンポイントで異物に打ち込むような役割を担っています。NK細胞は個々による白兵戦を好み、直接、異物と対峙します。Tリンパ球にはNK細胞と同じように個々の白兵戦を好む部隊と、策を練りチームとして戦う部隊があり、この2種類の部隊が攻撃を担います。以下では分かり易くするためにリンパ球と一括りにします。

 

■リンパ球を活性化 -アクセルとブレーキ解除-

簡単に言ってしまうと「がん免疫療法」とは、このリンパ球の力をうまく使ってがんを退治する方法のことです。最初に考案されたのは、とにかくリンパ球を全般的に活性化しようという試みで、これはよく車のアクセルを踏み込む動きに例えられます。ここでは仮にアクセル型と名づけましょう。

ところが、実はがん細胞は免疫から逃れる術をいくつも身に付けています。その一つにブレーキをかけてリンパ球という車を走れないようにする機構を持っています。その機構を解除して車を走れるようにする方法をブレーキ解除型とします。

現在行われている「がん免疫療法」の役割は、アクセルをできるだけ強く踏み込むアクセル型やブレーキ解除型の方法を使うことにより、リンパ球という車をスピードに乗せて走らせることなのです(図1)。

図1 アクセルの踏み込みとブレーキの解除

 

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