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NK細胞療法とは?特徴や治療法、デメリットや効果についても解説

現在行われているがんの治療方法には、手術療法、放射線療法、化学療法、免疫療法の4つがあります。

中でも免疫療法は比較的新しい治療法で、副作用が少なく安全性も高いことから、多くのがん患者さんから注目を集めています。今回はがんの免疫療法を詳しく知りたい方に向けて、情報をまとめました。

この記事を読むと、

・NK細胞療法の特徴

・NK細胞療法の治療の流れ

・6種複合免疫療法の特徴

について知ることができます。NK細胞療法をメインに紹介していきますので、ぜひ参考にご覧ください。

免疫細胞とは?


そもそも免疫細胞とは、どのようなものなのでしょうか。

免疫細胞とは、私達の体の中を巡っている血液やリンパ液の中にある細胞です。白血球の中に存在し、赤血球や血小板などの血液細胞と共に、体内を循環します。

免疫細胞の役割は、異物や病原体などを認識し攻撃を行うことです。私達の体を病気から守ってくれる大切な細胞ですね。

NK細胞(ナチュラルキラー細胞)とは?


続いては、NK細胞について紹介します。NK細胞はリンパ球に含まれる免疫細胞の一つです。

ナチュラルキラー細胞と呼ばれることもあり、直訳すると「生まれながらの殺し屋」という意味になります。極めて強い細胞殺傷能力を持っています。

NK細胞はリンパ球の10〜30%程度を占める成分で、がん細胞など出会ったことのない異常細胞を発見すると、単独で攻撃します。NK細胞と他の免疫細胞との違いは、抗原抗体反応がないことです。

T細胞やB細胞などの他の免疫細胞は抗原抗体反応があるため、過去に異常細胞と認識したものしか攻撃しません。しかし、NK細胞は他の免疫細胞と違い、自由に攻撃できる細胞です。

NK細胞療法とは?


NK細胞療法とは、免疫療法の一つです。

そもそも免疫療法は、自らの免疫の力を増強することでがん細胞に対抗しようとする治療法のことを言います。つまり、がん細胞の増殖よりもさらに免疫力を高めることを目指す治療法です。

NK細胞療法では、患者さんの体から取り出した血液中のNK細胞を高活性化培養します。特殊なNK細胞培養培地を用いることで、効率的に高い細胞殺傷能力を持ったNK細胞の培養が可能です。

培養した細胞を、点滴で体内に戻して行う治療法ですので、安全性が高いのが特徴です。様々ながん治療との併用することも可能ですので、治療の可能性が広がります。

NK細胞療法の効果


NK細胞療法で見込まれる治療効果について見ていきましょう。

NK細胞療法を行うことで、NK細胞が活性化し、がん細胞を攻撃します。これにより、がんの進行を抑制したり、がんを小さくする効果が得られます。

また、抗がん剤治療の免疫抑制により、がん細胞に対する免疫細胞の抵抗力が落ちてしまった場合の免疫増強や、がんの発生や再発を抑制するための予防にも効果的です。

NK細胞療法が適しているがんの種類


NK細胞療法は、一部の血液系のがん以外の、臓器や組織などでかたまりをつくる「固形がん」が治療対象です。

固形がんは、胃がん、肺がん、大腸がん、子宮がんなどの上皮細胞で発生するがんの他に、骨、筋肉から発生する非上皮細胞がんのことを指します。

NK細胞療法の特長


続いては、NK細胞療法の特長を紹介します。

NK細胞療法の特長を5つの項目にまとめました。

重篤な副作用が起きる可能性が低い

NK細胞療法は、自身のNK細胞を増殖、活性化して、体内に戻す治療法です。

拒絶反応やアレルギー反応など重篤な副作用が起きる可能性が低いのが特徴です。高齢な方でも安心して治療を受けることができます。

短期間で効果が表れやすい

NK細胞療法は、短期間で効果が現れやすいという特徴があります。免疫細胞の中でもがん細胞を破壊する能力の高いNK細胞を使用するため、比較的短期間に効果が出やすいと言われています。ただし効果の発現には個人差があります。

他のがんの治療方法と併用できる

NK細胞療法は、他のがんの治療方法と併用可能です。特に、NK細胞療法は樹状細胞ワクチン療法との併用効果が期待できます。

樹状細胞ワクチン療法は、リンパ球の中にあるT細胞を教育し、がん細胞のみ作用するリンパ球を誘導してがんを攻撃する治療法です。

しかしがん細胞はT細胞からの攻撃を逃れようとして、がん細胞であることの目印(MHC分子)を隠す場合があります。この場合T細胞の攻撃をすり抜けてしまうことも。

T細胞の攻撃からのすり抜けを補完できるのがNK細胞療法です。

MHC分子も攻撃可能ですので、NK細胞療法と併用することでより高い効果が出やすいと言えるでしょう。

体への負担が少ない

がんの治療方法によっては、副作用が強く入院が必要なケースもあります。また手術療法では、侵襲が大きく、治療部位や全身の回復に時間を要します。

一方、NK細胞療法の場合、身体的な負担が他の治療方法より少ない傾向にあり、通院による治療も可能です。自宅で生活しながら、生活の質を維持しながら治療できるのは、大きなメリットだと言えるでしょう。

身体的にはもちろん、精神的にも負担の少ない治療法だと言えます。

再発や転移の予防につながる

NK細胞療法は、増殖・活性化したNK細胞が体全体を巡るため、がんの再発や転移予防にも繋がります。

手術の場合は、血液やリンパからがん細胞が全身に拡散されてしまうリスクがありますが、その場合にがん細胞を発症させないためにも、NK細胞療法が効果的だと考えられています。

NK細胞療法の注意点やデメリット


続いては、NK細胞療法の注意点を紹介します。

NK細胞療法の治療を受ける前に、把握しておくべき注意点を見ていきましょう。

まれに軽度な副作用が起きる可能性がある

NK細胞療法では重篤な副作用は起きにくいですが、ごくまれに軽度な症状が出ることがあります。

具体的には発熱、発疹、倦怠感などです。ただし、これらの症状も数日程度で治まることがほとんどですので、安心して治療を受けられます。抗がん剤治療のように、吐き気や食欲不振などの副作用に悩まされることもありません。

NK細胞が認識しないがん細胞もある

NK細胞が認識できるがん細胞は、およそ全体の60%と言われています。

NK細胞療法だけでがんを治療することには限界があるため、前述した樹状細胞ワクチン療法や他の免疫細胞療法などとの併用がおすすめです。

自由診療のため全額自己負担になる

NK細胞療法は自由診療です。保険が適用されない治療法ですので、社会保険等の公的な健康保険の対象ではありません。

治療費は自己負担となり高額になることもありますので、治療を受けるクリニックや病院へ事前に治療費を確認しておくのがおすすめです。

すぐに治療を始められない

NK細胞療法では、まず治療を受ける方の血液の採取が必要となります。NK細胞を培養し増殖、活性化させますので、すぐに治療を開始することはできません。

NK細胞の培養期間には数週間程度の期間が必要です。

NK細胞療法の治療の流れ


では、NK細胞療法の具体的な治療の流れを見ていきましょう。

クリニックや病院によっては細かい部分は異なるケースもあるため、詳細は治療を受けるクリニックや病院に確認してください。

治療の流れ1  NK細胞療法を受けられるかどうか、血液検査や画像検査などをもとに判断
治療の流れ2  治療を受ける方の血液を採取
治療の流れ3  専用の細胞培養施設で、一定期間、時間をかけてNK細胞を増殖、活性化(2~3週間かかることが多い)
治療の流れ4  再度体内に戻す(NK細胞が含まれた生理食塩水を点滴)
治療の流れ5  上記を定期的に複数回繰り返す

NK細胞を含む6つの免疫細胞を培養する6種複合免疫療法とは?


NK細胞はもちろんのこと、T細胞や樹状細胞など6種類の免疫細胞を同時に培養する「6種複合免疫療法」という免疫療法もあります。

免疫細胞は複数の細胞がチームプレーで作用しているため、それぞれ役割が異なります。役割の異なる細胞を同時に培養することで、より高い効果が期待できるでしょう。

6種複合免疫療法で培養する、各免疫細胞について詳しく見ていきましょう。

NK細胞  NK細胞は、ナチュラルキラー細胞と呼ばれることもあります。

常に体内をパトロールしている細胞で、がん細胞を見つけると直ちに攻撃を開始します。

がん細胞の破壊に長けており、生まれながらのエリート細胞です。

NK細胞は抗原を持っているがん細胞も、隠しているがん細胞も見つけ出し、直接攻撃、破壊する  ことができます。

ただし完全に見つけ出すことは不可能で、がん細胞を取り逃がしてしまうこともあります。

樹状細胞  抗原提示細胞とも呼ばれ、がんの目印を知らせる総司令塔のような役割を担っています。

体内に侵入した異物をいち早く発見し、その情報をヘルパーT細胞、キラー細胞、NKTなどの免疫 細胞に伝えます。

ただし、末梢血中の樹状細胞は未熟であり、がん抗原を認識することが困難です。

樹状細胞が成熟するためには活性化したNKT細胞の存在が必要です。

ヘルパーT細胞  ヘルパーT細胞は、免疫の司令塔と言われる細胞。

樹状細胞から異物の情報を受け取ると、免疫活性化物質であるサイトカインを放出して、キラーT細胞やNK細胞などの実行部隊に攻撃の指令を出します。

キラーT細胞  キラーT細胞は、CTL細胞(細胞障害性Tリンパ球)と呼ばれることもあります。

抗原を持っているがん細胞を破壊することができます。

しかし多くの場合、がん細胞は抗原を隠しているため、すべてのがん細胞を破壊することができません。

NKT細胞  キラーT細胞とNK細胞の両方の問題を解決できる、新しいタイプのリンパ球です。

抗原を隠しているがん細胞を見つけ出し、直接攻撃することができます。

がん治療において重要な役割を担う存在で、抗がん剤や放射線で傷害を受けた細胞や組織の修復もできます。

ガンマ・デルタT細胞  γδ(ガンマ・デルタ)T細胞は強力な抗腫瘍作用を持っています。

抗原を隠しているがん細胞でも排除します。

また、感染初期の免疫反応に応え、傷害を受けた細胞や組織の修復を助ける働きがあります。

がん治療に多様性を与える存在だと言えるでしょう。

6種複合免疫療法の効果


続いては、6種複合免疫療法の効果について紹介します。

がん細胞を発見、認識、攻撃するなどそれぞれ役割を持つ免疫細胞を同時に増殖・活性化することで、より効果的にがん細胞と闘えるように免疫力を高める治療法です。

手術や抗がん剤治療、放射線治療が難しい転移・再発したがんに対しても効果が表れるケースもあります。

6種複合免疫療法が適しているがんの種類


6種複合免疫療法はほとんどのがんに適応可能です。一部の白血病を除く、ほぼ全てのがんに対応しています。

手術や抗がん剤治療、放射線治療が難しいがんや、がんの再発や転移の予防にも効果が期待できます。

6種複合免疫療法の特長


では、6種複合免疫療法の特長を詳しく見ていきましょう。

特徴を4つにまとめました。

重篤な副作用が起きる可能性が低い

6種複合免疫療法は、NK細胞療法と同様に体の中にある免疫細胞を使った療法です。

治療を受ける方自身の血液を採取し、6つの免疫細胞を抽出、培養させて体内に戻す治療方法ですので、アレルギー反応や拒絶反応などの重篤な副作用が起きにくいという特徴があります。

高齢の方でも安心して治療を受けることができます。

他のがん治療と併用することで高い効果を見込める

6種複合免疫療法は、放射線治療や抗がん剤治療との併用が可能です。

抗がん剤の副作用を軽減し、生活の質を高める効果が期待できます。温熱療法や漢方、鍼治療、ビタミン療法などとの併用も問題ありません。

体への負担が少ない

6種複合免疫療法は、1回の治療時間が20から30分と短く、入院する必要もありません。

基本的には3週間ごとに6回の治療を行うため、体への負担が少ないのが特徴です。生活リズムを崩さずに治療を進められるので、ライフスタイルや生活の質を保つことができます。

採血の分量もごくわずかで、一回約30ccを採取します。患者さんへの負担を最小限に抑えて治療を行いますので、どなたでも安心して受けられますよ。

再発や転移の予防につながる

6種複合免疫療法は、術後のがん転移、再発の予防にも効果があります。

手術療法などで残ってしまったがん細胞にも効果を見込めます。

6種複合免疫療法の注意点


6種複合免疫療法の注意点を紹介します。

治療を開始する前に、どのような注意点があるのか知っておきましょう。

効果の表れ方には個人差がある

6種複合免疫療法は、症例により効果に差があります。

場合によっては治療を受けても期待していた効果が表れないことも。また、免疫力が著しく低下している場合は、複数回治療を受けても効果が表れないこともありますので、ご注意ください。

これは、がんの勢いと免疫力に大きな力の差があると免疫細胞を活性化したとしても、その力関係を修復できないケースがあるためです。

まれに軽度な副作用が起きる可能性がある

6種複合免疫療法は、まれに一過性の軽度な副作用が起きるケースもあります。

具体的に発熱、注射部位の発赤・発疹・搔痒感などです。症状は数日で治まることが多く、重篤な副作用は起きにくいと言われています。

自由診療のため全額自己負担になる

6種複合免疫療法は自由診療です。

NK細胞療法と同様に、6種複合免疫療法も保険は適用されないため、自費での診療となります。ただし確定申告による医療費控除の対象となりますので、領収証は確定申告時まで大切に保管してください。

すぐに治療を始められない

6種複合免疫療法では、免疫細胞を培養する必要があるため、採血してから数週間程度の期間がかかります。

培養工程で条件や規格を満たさなかった場合、治療を受ける方の体調によっては、採血や培養し直すケースもあります。

6種複合免疫療法の治療の流れ


続いて、6種複合免疫療法の具体的な治療の流れを紹介します。

クリニックや病院によっては細かいスケジュールが異なるケースもあります。また受診時には

・診療情報提供書

・検査資料

・血液検査データ

・服薬中の薬などの情報

が必要な場合もあります。詳細は治療を受けるクリニックや病院に確認してください。

治療の流れ1  治療を受ける方の採血
治療の流れ2  治療を受ける方の血液を採取
治療の流れ3  専用の細胞培養施設で、6種類の免疫細胞を培養、同時 に活性化・増殖させる(約3週間)
治療の流れ4  点滴によって、治療を受ける方の体内に免疫細胞を戻す(1回の点滴時間は20から30分程度)
治療の流れ5  上記を定期的に複数回繰り返す(基本的には3週間ごとに6回を1クールとして、約4、5ヶ月かけて治療を行う)

6種複合免疫療法の2つのコース


6種複合免疫療法では、治療を受ける方の状況に応じて、2つのコースをお選びいただけます。

がんの予防を重点的に行う、6種複合免疫療法「BASIC」コースと、がんの治療を重点的に行う6種複合免疫療法「CSC」コースです。

各コースについて紹介します。

 

がん予防のための6種複合免疫療法「BASIC」

がんを予防、再発防止したい場合におすすめなのが、6種複合免疫療法「BASIC」コースです。

6種類の免疫細胞を培養して増殖・活性化させることで、がんの発生・再発リスクを低減します。特に6種複合免疫療法で活性化されるNKT細胞は、免疫細胞全体のネットワークを強化します。

これにより、免疫細胞の長期に渡るがん攻撃記憶機能を獲得することが知られています。

がん治療のための6種複合免疫療法「CSC」

がんを治療したい場合におすすめなのが、6種複合免疫療法「CSC」です。

6種複合免疫療法「BASIC」に、WT1ペプチドとがん幹細胞を標的とするペプチドを付加する治療法です。

樹状細胞がWT1ペプチドを認識し、キラーT細胞、ヘルパーT細胞、NKT細胞に伝達します。これにより免疫細胞が活性化・増殖し、がん細胞を攻撃するサイトカインを放出し、がん細胞を攻撃してくれます。

また手術療法、放射線療法、化学療法では、すでにがん化している細胞を縮小しても、幹細胞が残っている場合、再発を繰り返してしまうことも。6種複合免疫療法の「CSC」コースでは、がん幹細胞特異抗原、共通抗原を樹状細胞に認識させることで、がん細胞とがん幹細胞の両方の攻撃が可能になります。

まとめ:NK細胞療法はがんの第4の治療法


今回は

・NK細胞療法の特徴

・6種複合免疫療法の特徴

・6種複合免疫療法の治療の流れ

について紹介しました。

手術療法、放射線療法、化学療法に続く、がんの第4の治療法として、NK細胞療法や6種複合免疫療法などの免疫療法があります。安全性が高く、副作用も少ない確実な治療法は、多くのがん患者さんを救う希望の光となるでしょう。

同仁がん免疫研究所では、6種複合免疫療法の治療を行っています。

厚生労働省の許可を受けた細胞培養施設にて、極めて高度な安全管理体制のもとで細胞培養の委託を受けています。

同仁がん免疫研究所の細胞培養数は圧倒的で、約3週間で1,000から2,000個の細胞を20から50億個まで培養できます。

 

6種複合免疫療法についてさらに詳しく知りたい方は「こちら」よりご確認ください。

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