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末期がんでも治る? 生存率や検討したいケア・治療法について解説

みなさんは「末期がん」にどのようなイメージを持っていますか?末期というワードから治らないような印象を受ける方や、末期がんでも治ることはあるのか疑問を感じる方もいるかと思います。

今回は、末期がん患者さんやがん患者さんの親族に向けて、末期がんに関する情報をまとめました。末期がんの生存率や検討したいケア・治療法について解説しますので、ぜひ参考にご覧ください。

末期がんとは


そもそも末期がんとは、どのようながんのことを指すのでしょうか。末期がんには、明確な定義はありません。

一般的にはステージⅣのがん、つまりがんが他の臓器に転移している状態で末期がんといわれることが多い傾向にあります。がんのステージとは、0〜4の5段階に分けられます。

ステージ0 がんが臓器の表面の浅い部分だけにあり転移が無い状態
ステージ1 がんが筋肉層までに留まっていて転移が無い状態
ステージ2 がんは小さめですが転移がある場合、もしくは転移は無いががんが筋肉層を超えて広がっている場合
ステージ3 がんが大きいか深いところにあり、リンパ節等に転移している場合、または、がんが局所で進行しているか、リンパ節転移がある程度広がっている場合
ステージ4 がんが初めにできた原発巣から他の臓器に転移している場合※がん種ごとに異なる

このほかにがんが進行もしくは再発して有効な治療の手段がなくなり、余命が短い状態のことを末期がんと呼ぶこともあります。

末期がんでも治る?


では、がんが他の臓器に転移している状態の末期がんでも治るケースはあるのでしょうか。結論から申しますと、末期がんが100%治るという確証のある治療法はありません。

しかし、一般的に末期がんという言葉はがんの進行の程度を表すもので、末期がんと診断されたとしても「短期間で絶対に亡くなってしまう」わけではありません。実際に医師から余命宣告を受けても、長く生きている方もいます。

ステージⅣと宣告された人のその後の生存率


続いては、ステージⅣと宣告された人のその後の生存率を紹介します。

末期がんといわれることが多いステージⅣの主ながんの5年〜10年生存率を、次章以降で見ていきましょう。この表はあくまで一つの目安であり、ステージⅣのがんでも長く生存している人がいます。

5年生存率

まずは、ステージⅣのがんの5年生存率を紹介します。

5 年実測生存率(%) 5 年相対生存率(%)
胃がん 5.5 6.2
大腸がん 16.8 18.7
肝細胞がん 3.7 4.2
肝内胆管がん 5.0 5.6
小細胞肺がん 1.7 1.9
非小細胞肺がん 7.2 8.1
女性乳がん 37.0 38.7
食道がん 7.7 8.6
膵臓がん 1.3 1.4
子宮頸がん 24.8 26.0
子宮内膜がん 21.2 22.1
前立腺がん 51.2 63.4
膀胱がん 16.8 19.3
咽頭がん 40.5 46.8
胆嚢がん 2.1 2.4
腎がん 16.3 18.3
腎盂尿管がん 10.7 12.3
甲状腺がん(乳頭濾胞がん) 83.9 91.1
甲状腺がん(未分化がん) 5.7 6.6
卵巣がん 25.5 26.6

(参考:がんの統計2023 公益財団法人 がん研究振興財団

10年生存率

次に、ステージⅣのがんの10年生存率を紹介します。

5 年実測生存率(%) 5 年相対生存率(%)
胃がん 5.0 6.6
大腸がん 10.2 12.7
肝細胞がん 1.6 2.1
肝内胆管がん 0.6 0.7
小細胞肺がん 1.4 1.8
非小細胞肺がん 1.7 2.2
女性乳がん 17.4 19.4
食道がん 6.2 19.1
膵臓がん 0.9 1.0
子宮頸がん 18.6 20.7
子宮内膜がん 16.2 17.6
前立腺がん 29.8 47.6
膀胱がん 10.7 15.2
咽頭がん 24.9 34.8
胆嚢がん 1.5 2.1
腎がん 8.6 10.8
腎盂尿管がん 7.3 9.6
甲状腺がん(乳頭濾胞がん) 69.1 81.8
甲状腺がん(未分化がん) 5.1 7.2
卵巣がん 13.0 14.1

(参考:がんの統計2023 公益財団法人 がん研究振興財団

末期がんになったときに検討したいこと


続いては、末期がんになったときに検討したいことを紹介します。

現在では末期がんに対するさまざまなケアや治療法があります。一般的に抗がん剤治療や放射線治療は強い副作用が生じるため、末期がんにおいて選択されるケースは少ないですが、いくつかのケアや治療法について次章以降で解説します。

今回は、緩和ケアと免疫療法について見ていきましょう。

緩和ケア

末期がんになったときに検討したいこと1つ目は、緩和ケアです。

緩和ケアは、末期がんではなくとも受けられる治療で、がんによる心身のさまざまなつらさを和らげる取り組みのことです。末期がんの場合以下に挙げるようなさまざまな辛さや不安を抱えることが多いため、適切なケアが必要となります。

WHOの定義では、

緩和ケアは、身体的、心理的、社会的、または霊的な側面を含めて、生命を脅かす疾患がもたらす困難を抱える患者とその家族の生活の質を改善します。そして介護者のQOLも改善します。

またこの他に、

・年間、4000万人が緩和ケアを必要としていると推定されていますが、その78%が低・中所得国に住んでいます。

・世界中で、緩和ケアを必要とする人のうち、そのケアを受けているのはわずか約14%です。

・モルヒネをはじめとして必要な緩和ケア用の薬剤を必要以上に制限する規制は、適切な緩和ケアの普及を妨げています。

・普及を改善するためには、医療専門家に対する緩和ケアに関する適切な国の政策、プログラム、資源、および研修が緊急に必要です。

・人口の高齢化、非伝染病や一部の伝染病の増大などにより、緩和ケアの世界的ニーズは今後も高まりつつあります。

・緩和ケアを早期に行うことで、不必要な入院や保健サービスの利用を減らすことができます。

・医師、看護士、サポートワーカー、パラメディカルスタッフ、薬剤師、理学療法士、そしてボランティアなど、それぞれの立場で重要な役割を果たす専門家が、患者とその家族を支援する緩和ケアサービスに必要です。

と述べています。

(引用:公益社団法人 日本WHO協会

がんによる辛さや不安は、多岐にわたります。

  • 体の辛さや痛み
  • 将来への不安
  • 家族や家庭
  • 仕事に対する不安
  • 責任感

など。

これらの辛さを緩和するのが、緩和ケアの目的です。緩和ケアによって痛みが軽減され、体調や気持ちの落ち込みが改善される可能性もあるため、患者さんによっては有効な治療法だと言えます。

免疫療法

末期がんになったときに検討したいこと2つ目は、免疫療法です。

末期がんの治療として、免疫療法を受けるという選択肢もあります。免疫療法とは、治療を受ける方の体に元々備わっている免疫細胞を利用して、がんを治療する方法です。

免疫療法は主に以下の治療法があります。

1つ目は、免疫チェックポイント阻害薬による治療法です。

免疫チェックポイント阻害薬は、T細胞やがん細胞のアンテナに作用し、免疫にブレーキがかかることを防ぐ薬です。また、免疫チェックポイント阻害薬にはさまざまな種類があり、それぞれ対応するがんが異なります。

ただし、さまざまな副作用が起こる可能性があるため注意が必要です。主な副作用として疲労、そう痒症、発疹、悪心、食欲減退などがあげられます。

2つ目は、免疫細胞療法です。

免疫細胞療法とは、免疫(免疫細胞が攻撃する力)を強める効果がある治療方法です。その中でも末期がんの場合、副作用が少なく体力がない方でも受けやすい免疫細胞療法を検討するという選択肢があります。

免疫細胞療法の中にもさまざまな種類の治療法がありますので、次章以降で

  • 樹状細胞ワクチン療法
  • エフェクターT細胞療法
  • NK細胞療法
  • アルファ・ベータT細胞療法(αβT細胞療法)
  • ガンマ・デルタT細胞療法(γδT細胞療法)
  • 6種複合免疫療法

の6つの免疫細胞療法について見ていきましょう。

樹状細胞ワクチン療法

紹介する免疫細胞療法の1つ目は、樹状細胞ワクチン療法です。

樹状細胞ワクチン療法では、樹状細胞のもととなる単球を培養・活性化させることで、がん細胞にアプローチします。樹状細胞は、がんの目印を最初に確認し、その特徴を免疫細胞であるリンパ球に伝える役割を担っています。樹状細胞ワクチン療法は、副作用が少なく転移しているがんにも効果が期待できます。極稀な副作用として、一過性の発熱や注射部位の発赤などが見られることがあります。

エフェクターT細胞療法

紹介する免疫細胞療法の2つ目は、エフェクターT細胞療法です。

エフェクターT細胞療法は、がん細胞への攻撃力を強めるために患者さんのT細胞を体の外に取り出して行います。取り出したT細胞にがん細胞の目印を見分ける遺伝子を組み入れ、増殖させ再び体の中に戻します。

エフェクターT細胞療法の一つに、CAR-T細胞療法があり、T細胞を取り出してがん細胞を攻撃するCAR(キメラ抗原受容体遺伝子)-T細胞に変えて増やし、自分の体に戻して治療を行います。現在国内で保険診療として受けることができるエフェクターT細胞療法は、CAR-T細胞療法のみです。治療ができる施設は限られていますので、主治医とよく相談し治療を検討しましょう。

NK細胞療法

紹介する免疫細胞療法の3つ目は、NK細胞療法です。

NK細胞療法では自身の免疫細胞を用いてがん細胞にアプローチします。NK細胞は、がん細胞を発見すると真っ先に単独で攻撃する能力を持っています。特殊なNK細胞培養培地を用いることで、効率的に高い細胞殺傷能力を持ったNK細胞の培養が可能です。副作用の心配が少ないこと、侵襲の少ない治療法であることがメリットとしてあげられます。抗がん剤治療のように、吐き気や食欲不振などの副作用に悩まされることもないでしょう。

アルファ・ベータT細胞療法(αβT細胞療法)

紹介する免疫細胞療法の4つ目は、アルファ・ベータT細胞療法(αβT細胞療法)です。

アルファ・ベータT細胞療法(αβT細胞療法)では、リンパ球を分離して、T細胞の表面にあるCD3という分子を刺激して、T細胞を活性化させます。安全性が高く、ほぼすべてのがんに適応できるという特徴がありますが、必ずしも副作用が出ないというわけではありません。

ガンマ・デルタT細胞療法(γδT細胞療法)

紹介する免疫細胞療法の5つ目は、ガンマ・デルタT細胞療法(γδT細胞療法)です。

ガンマ・デルタT細胞療法(γδT細胞療法)は、T細胞の中に数%あるガンマ・デルタT細胞という免疫細胞を使用する治療法です。ガンマ・デルタT細胞はがん細胞に対して、とても高い殺傷能力を持っており、高い治療効果が期待できる比較的新しい治療方法として注目を集めています。まれに発熱などの副作用が出現することがあります。

6種複合免疫療法

紹介する免疫細胞療法の6つ目は、6種複合免疫療法です。

6種複合免疫療法は、免疫細胞を一度体外へ取り出し、活性化・増殖させて体内へ戻す療法です。がん細胞を発見、認識、攻撃するなどそれぞれ役割を持つ免疫細胞を同時に増殖・活性化することで、より効果的にがん細胞と闘えるように免疫力を高めてくれます。

手術や抗がん剤治療、放射線治療が難しい転移・再発したがんに対しても効果が表れるケースもあります。6種複合免疫療法は、患者さんへの侵襲が少なく副作用も少ない治療法です。放射線治療や抗がん剤治療との併用や、温熱療法や漢方、鍼治療、ビタミン療法などとの併用も問題ありません。

まとめ


今回は、末期がんについて紹介しました。

末期がんの生存率は、がんの種類によって異なります。検討したいケア・治療法としては緩和ケアや免疫療法があり、患者さんの様態により効果もさまざまです。

同仁がん免疫研究所は、今回紹介した免疫療法の一つである「6種複合免疫療法」を行っている施設です。

同仁がん免疫研究所では、厚生労働省の許可を受けた細胞培養施設にて、極めて高度な安全管理体制のもとで細胞培養の委託を受けています。

細胞培養数は圧倒的で、約3週間で1,000から2,000個の細胞を20から50億個まで培養できます。

6種複合免疫療法に関する詳細は、こちらよりご確認ください。

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