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直腸がんの手術による排便・排尿への影響は? 術後の生活のポイントを解説

直腸がんは大腸がんの一部です。直腸は直腸S状部と上部直腸、下部直腸に分けられます。

今回は、直腸がんを患っている方やその家族の方に向けて、直腸がんの手術による排便・排尿への影響について情報をまとめました。術後の生活のポイントについても解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。

直腸がんの手術の流れ


まずは、直腸がんの手術の流れを紹介します。主な流れは以下の通りです。

  • 精密検査(大腸内視鏡検査)
  • 病理検査
  • 注腸造影植査
  • がんの広がりや転移などの検査
  • がんのステージを判定
  • 治療方針の決定
  • 手術療法あるいはその他の治療法(放射線療法、化学療法、内視鏡治療など)
  • 手術日や入院日の決定
  • 手術前日
  • 手術当日

 

直腸がんの術後の経過


次に、直腸がんの術後の経過を見ていきましょう。直腸がんであれば、手術から1週間~10日程度で退院することを目指すのが一般的です。

ただしこれらはあくまで目安なので、個人差があったり、クリニックによってもスケジュールが異なります。直腸がんの術後の経過について、次章以降でより詳しく紹介します。

手術直後

直腸がんの手術直後について情報をまとめました。手術直後は、ベッドで安静にしていることが大切です。

術後数時間後に水が飲めるようになることが一般的だと言われています。また、手術直後は排尿できるように尿道カテーテルが留置されています。腹腔内や肛門内にドレーンが留置されている場合もあります。直腸がんの手術直後に痛みがひどい場合には無理せずに、医師や看護師に伝えるようにしましょう。

手術から1日後

次に直腸がんの手術から1日後について紹介します。手術から1日後は、まずは歩けるかどうかを見るために、離床リハビリテーションが始まります。

歩けるようになったら尿道カテーテルを外すことができます。徐々に普段の生活に慣れていけるよう、ベット上での生活ではなく座る時間を作っていくことが大切です。

手術から2~6日後

次に直腸がんの手術から2〜6日後について紹介します。

手術から2〜6日後には、食事が始まります。食事が問題なくできるようになったら点滴を外すことができます。この際、合併症が起きないか経過観察することも重要です。患者さんの経過を見ながらドレーンを除去していきます。

手術から7日後以降

最後に、手術から7日後以降について紹介します。手術から7日後以降は、食事ができて排便も順調であれば、患者さんの体調によって退院できます。

直腸がんの手術後は人工肛門になる?


続いては、直腸がんと人工肛門の関係性を紹介します。直腸がんの手術後は人工肛門になるのかと疑問に感じている方もいるかと思います。

結論、直腸がんで手術したとしても、肛門からの距離が一定以上あれば肛門を温存できるケースが多いです。肛門を温存できない場合でも、人工肛門(ストーマ)によって排泄処理ができるようにしていきます。術後に医師や看護師のサポートを受けながら便を処理する方法や、ケアの方法を練習し徐々に慣れていきましょう。

また、便をためるストーマ袋には防臭加工がされており、トイレで便を処理するとき以外は臭うことはほとんどありません。ストーマ袋の扱いに慣れれば漏れることもなく、通常の生活を送れます。

術後の排便・排尿への影響


続いては、直腸がんの術後の排便・排尿への影響を紹介します。

直腸がんの手術後は、排便・排尿への影響があります。術後1~3カ月程度経つと、手術直後よりは上記に挙げた症状は改善するでしょう。

一方でそれ以降は改善しにくくなる傾向にあり、下痢止めや下剤などを使いながら排便コントロールをすることも必要となる場合があります。

術後の症状については、医師によく相談することが大切です。術後の排便・排尿への影響などについて、次章以降でより詳細に解説します。

排便障害

まずは、直腸がんの手術による排便障害について紹介します。

直腸がんの手術によって残された直腸が短いと、特に排便障害が起こりやすいと言われています。残便感があり、すっきりしない感覚があるという方もおり、このような状態では、トイレに行く回数が増えてしまいます。

また、下痢や便秘、ガスが出にくくなりおなかが張ったりする症状が現れることもあります。下痢になった場合には、水分を多めにとることが大切です。

肛門機能障害

次に、直腸がんの手術による肛門機能障害について紹介します。

直腸がんの手術により、トイレに行くまでに便意をこらえきれなくなることもあります。場合によっては、就寝時に便が漏れてしまうことも起こり得ます。これらの肛門機能障害は、肛門からがんまでの距離が5cm以内の場合に起こりやすいと言われています。

排尿障害

次に、直腸がんの手術による排尿障害について紹介します。

手術によっては、術後に尿意を感じなかったり残尿感があったりする場合もあります。排尿障害は薬で改善することが多いですが、症状が出た場合には医師や看護師に相談し、泌尿器科の診察を受けることをおすすめします。

排便・排尿障害以外の直腸がんの術後合併症


排便・排尿障害以外にも、さまざまな直腸がんの術後合併症があります。主な術後合併症について、次章以降でより詳しく解説します。

縫合不全

直腸がんの術後合併症1つ目は、縫合不全です。

縫合不全とは、腸管を縫い合わせたつなぎ目から腸の内容物が漏れてしまうことを言います。縫合不全が起きてしまうと周囲に腹膜炎が起こる可能性があります。腹膜炎では、発熱や腹痛などの症状が出ることがあります。

また、直腸がんのように肛門に近い部分で行う手術は、縫合不全が起こりやすくなってしまいます。縫合不全による感染や炎症が軽い場合は、点滴治療で治ることもありますが、腹膜炎になってしまった場合は、再手術を行いストーマを作る必要があります。

腸閉塞

直腸がんの術後合併症2つ目は、腸閉塞です。

腸閉塞は、腸の炎症による部分的な癒着によって生じます。腸閉塞が起こると、腸管の通りが悪くなり便やガスが出なくなってしまいます。腸閉塞の主な症状は、腹痛・嘔気・嘔吐などです。点滴をしたり胃液や腸液の排出で回復しますが、場合によっては手術が必要になることもあります。

性機能障害

直腸がんの術後合併症3つ目は、性機能障害です。

骨盤内には性機能に関係する神経があり、直腸がんの手術を行うと勃起不全や射精障害などが生じる可能性があります。女性の場合感覚が弱まるなどの影響が出ることがあります。治療などで機能が回復する場合もあるので、医師に相談しましょう。

腹腔内膿瘍(ふくくうないのうよう)

直腸がんの術後合併症4つ目は、腹腔内膿瘍です。腹腔内膿瘍は、腹腔内に細菌が感染することで生じる合併症です。膿が小さい場合には、抗生物質の投与で治癒します。

ただし、腹腔内膿瘍に縫合不全が関係している場合には、治療が複雑化する可能性もあります。

イレウス

直腸がんの術後合併症5つ目は、イレウスです。イレウスでは腸がむくんでしまうことで、食欲不振や嘔吐などが生じます。絶食期間を長くすることで改善することが多いのですが、体内に管を入れて治療することが必要になる場合もあります。

押さえておきたい直腸がんの手術後の生活のポイント


続いては、押さえておきたい直腸がんの手術後の生活のポイントを紹介します。

食事

押さえておきたい直腸がんの手術後の生活のポイント1つ目は、食事です。直腸がんの手術は、食べ物の消化・吸収にほとんど影響しないと考えられています。そのため基本的には何を食べても大丈夫です。

ただし術後合併症である腸閉塞になる恐れもあるため、手術後しばらくは食物繊維を摂取しすぎないようにしましょう。なるべく消化の良いものを食べるようにすることが大切です。

また、手術から約1〜2カ月後は手術前と同様の食事をしても問題ありません。ゆっくりとよく噛んで、食べ過ぎないようにしましょう。術後半年もすれば体重は元に戻ることが大半です。飲酒も可能ですが、飲みすぎないようにしてください。アルコール類をいつから飲んでよいかは、医師に確認することが重要です。

患者さんによっては術後、体調がよくなると食欲が増して太ってしまうこともあります。体重が増え過ぎたらダイエットを心がけましょう。

直腸がんの手術後におすすめの食べ物

直腸がんの手術後におすすめの食べ物を紹介します。タンパク質を摂取できるおすすめの食べ物は以下の通りです。

皮なしの鶏肉・ささみ・脂肪の少ない牛・豚肉・レバー
鯵・かれい・鱸・鮭・鱈・ひらめ・牡蠣・はんぺん
鶏卵・うずら卵
豆腐・柔らかい煮豆・ひきわり納豆・きなこ
乳製品 牛乳・ヨーグルト・乳酸飲料・チーズ

糖質を摂取できるおすすめの食べ物は以下の通りです。

穀類 粥・うどん・パン・マカロニ
イモ類 じゃがいも・さといも・長いも・大和いも
果実 缶詰・りんご・熟したバナナ・桃・洋梨
お菓子 ビスケット・カステラ・ゼリー

脂質やビタミン、ミネラルなどが摂取できるおすすめの食べ物は以下の通りです。

油脂 植物油・バター・マーガリン・生クリーム
野菜 やわらかく煮たカブ・かぼちゃ・カリフラワー・キャベツ・大根・トマト・ナス・白菜・ブロッコリー
飲み物 番茶・麦茶・ジュース・薄いお茶・薄い紅茶・薄いコーヒー

また、これらの食材は煮る・蒸す・細かく刻む・焼くなどの調理法で食べることがおすすめです。

直腸がんの手術後は控えた方がよい食べ物

直腸がんの手術後は控えた方がよい食べ物を紹介します。タンパク質で避けたほうが良い食材は以下の通りです。

カツ、ビーフステーキなどの油の多い料理・バラ肉、ハム、ベーコンなどの脂肪の多い肉
貝類・いか・たこ・すじこ・かまぼこ・干物・佃煮・塩辛
大豆、枝豆

糖類で避けたほうが良い食材は以下の通りです。

穀類 玄米・赤飯・玄米パン・胚芽入りパン
イモ類 繊維の多いさつまいも・こんにゃく・しらたき
果実 パイナップルや柑橘系など繊維が多く酸味の強い果物・干し果物
お菓子 揚げ菓子・辛いせんべい・豆菓子

脂質やビタミン、ミネラルなどで避けたほうが良い食材は以下の通りです。

油脂 ラード・ヘッド
野菜 ごぼう、筍、ネギ、レンコン、ふき、ぜんまい、わらび、きのこなどの繊維の多い野菜・にら、にんにく、みょうがなどの香りの強い野菜・たくあん、つぼ漬けなどのかたい漬け物
海藻 昆布・海苔・ひじき・わかめ
調味料 辛子・カレー粉・わさび
飲み物 炭酸飲料・アルコール・濃いお茶・濃いコーヒー

運動

押さえておきたい直腸がんの手術後の生活のポイント2つ目は、運動です。直腸がんの手術後、退院したらウオーキングやストレッチなどの軽い運動を心がけるようにしましょう。術後は、筋力や体力を取り戻すためにこまめに体を動かすことが大切です。ただしお腹に力を入れるような腹筋を使った運動は、手術から数カ月間は控えるようにしましょう。

外出・仕事

押さえておきたい直腸がんの手術後の生活のポイント3つ目は、外出・仕事です。

直腸がんの術後の外出や仕事について、肉体労働などを除いて基本的に制限はありません。しかし直腸がんの手術の後は、前述したような術後合併症によってトイレに行く回数が増えたり、下痢が続いたりすることがあります。外出や仕事の前に、トイレの場所を事前に確認したり、替えの下着を用意したりすると良いでしょう。また、おむつパッドを下着に敷いておくのも方法の1つです。

入浴

押さえておきたい直腸がんの手術後の生活のポイント4つ目は、入浴です。

直腸がんの術後は入浴しても問題はありません。人工肛門をつけていても入浴して問題なく、温泉に入ることも可能です。

また、人工肛門の中にお湯が入っても、石けんがついても問題ありません。ただし、人工肛門はやさしく取り扱うように心がけましょう。

まとめ


今回は直腸がんの手術による排便・排尿への影響について紹介しました。

術後の生活のポイントについて、理解していただけたでしょうか。直腸がんの手術後は、食事内容を気をつけることや適度な運動を大切にしましょう。また、体に異変を感じたら医師に相談してください。辛さを無理せずに、自分のペースで生活することが大切です。

がんの治療法は多岐にわたり、最近では免疫療法の研究が進められています。同仁がん免疫研究所は、免疫療法の一つである「6種複合免疫療法」を行っている施設です。同仁がん免疫研究所では、厚生労働省の許可を受けた細胞培養施設にて、極めて高度な安全管理体制のもとで細胞培養の委託を受けています。細胞培養数は圧倒的で、約3週間で1,000から2,000個の細胞を20から50億個まで培養できます。

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