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オンコメタボライトとは? 近年の研究例と併せて分かりやすく解説

みなさんは「オンコメタボライト」という言葉を知っていますか?

今回はがん患者さんやその家族の方に向けて、オンコメタボライトについて分かりやすく解説していきたいと思います。

この記事を読むと

  • オンコメタボライトとは何か
  • オンコメタボライトの研究例
  • オンコメタボライトと大腸がんの転移への関与
  • 特定のオンコメタボライトと患者の予後の相関
  • T細胞応答を抑制するオンコメタボライトの発見

が分かります。ぜひ参考にご覧ください。

オンコメタボライトとは?


さっそくですが、オンコメタボライトとは何かを解説します。

近年のがん研究では、がん細胞の代謝ががんの進行に影響を及ぼすと考えられています。正常な細胞では酸素を使ってエネルギーが作られることはご存知だと思いますが、一方がん細胞では、酸素の有無にかかわらず積極的にエネルギーが作られてしまいます。これにより、がん細胞は異常な細胞増殖が見られるのです。

さらにがん研究では、遺伝子の変異やそれに伴うシングル伝達でのトラブルが、異常な代謝物を作ることが分かってきています。この異常な代謝物のことを「オンコメタボライト」と定義するのです。正常な細胞ではほとんど作られない異常な代謝物が蓄積してしまい、これが代謝を阻害したり、がん遺伝子の発現に影響を与えたりすることが分かっています。発がんやがん細胞の増殖につながるため注意が必要です。

オンコメタボライトの研究例


次に、オンコメタボライトの研究例を紹介します。オンコメタボライトの影響によるがん発生や転移については、近年研究が進められています。ここではいくつかの研究例の概要を紹介します。

大腸がんの転移への関与

オンコメタボライトの研究例1つ目は、大腸がんの転移への関与です。大腸がんの転移はオンコメタボライトが影響していることが分かったという研究が大阪大学より発表されています。

この研究により、大腸がんの細胞に、オンコメタボライトである2-ヒドロキシ・グルタール酸(2HG)が蓄積されていることが明らかになりました。2HGは離れた組織へのがん転移を引き起こす要因になる物質です。また2HGの濃度が高いほど、がんのステージが高く離れた臓器にも転移している確率が高いことが発見されました。この研究は、転移を伴う大腸がんに対する、新たな治療法の開発の手がかりになっています。

(参考:大腸がんの転移にはオンコメタボライトが関与する

特定のオンコメタボライトと患者の予後の相関

オンコメタボライトの研究例2つ目は、特定のオンコメタボライトと患者の予後の相関です。

ある研究により、低栄養状態のがん組織において、栄養飢餓の中でも特にグルタミンの欠乏が、がんの悪性化に関わることが分かりました。また、がん細胞がグルタミンの欠乏に対してオンコメタボライトを蓄積し、飢餓耐性を獲得するメカニズムが明らかになりました。さらに特定のオンメタボライトが、がん患者の方の予後に相関することも判明したそうです。

(参考:栄養飢餓耐性に寄与するがん代謝物(オンコメタボライト)の発見

T細胞応答を抑制するオンコメタボライトの発見

オンコメタボライトの研究例3つ目は、T細胞応答を抑制するオンコメタボライトの発見です。

東京大学先端科学技術研究センターは、T細胞応答を抑制するオンコメタボライト(スペルミジン)を発見したことを明らかにしています。がん細胞が、細胞死に際してオンコメタボライトを細胞外へ放出し、放出されたオンコメタボライトがT細胞の活性化を強力に抑制することで、ネガティブレギュレーターとして機能することを発表しました。

T細胞とは、がん細胞を攻撃する性質を持つリンパ球のことです。一方ネガティブレギュレーターとは生物体内の制御システムで、何らかの経路の進行を妨げる働きをする因子のことです。免疫チェックポイント阻害薬に代表されるT細胞を標的としたがん免疫療法の有効性を高めるために、ポリアミン合成阻害剤などでがん細胞がスペルミジンを産生するのを阻害することが効果的だとされています。

(参考:T細胞応答を抑制するがん代謝物(オンコメタボライト)を発見―がん免疫療法における新規治療標的としての期待―

(参考:がん情報サービス 免疫療法 もっと詳しく

(参考:植物ホルモン「サイトカイニン」に新たな機能を発見―乾燥・塩ストレス応答を制御する植物ホルモンの相互メカニズムが存在―

免役チェックポイント阻害薬とは?

免疫チェックポイント阻害薬は、免疫細胞ががん細胞を攻撃する力を保つための薬です。免疫チェックポイント阻害薬は、T細胞やがん細胞のアンテナに作用し、免疫にブレーキがかかることを防ぐ薬で、使用すると、さまざまな副作用が起こる可能性があります。主な副作用は疲労、そう痒症、発疹、悪心、食欲減退などで、副作用の出現には、個人差があります。また、免疫チェックポイント阻害薬にはさまざまな種類があり、それぞれ対応するがんが異なります。

まとめ


今回は、

  • オンコメタボライトとは何か
  • オンコメタボライトの研究例
  • オンコメタボライトと大腸がんの転移への関与
  • オンコメタボライトと大腸がんの転移への関与
  • 特定のオンコメタボライトと患者の予後の相関
  • T細胞応答を抑制するオンコメタボライトの発見

について紹介しました。

がん治療についての研究は日々深められており、治療法も進化を遂げています。がん治療を受ける際は、免疫細胞の効果やメリット・デメリットを踏まえて検討することを推奨します。

6種複合免疫療法は、免疫細胞を一度体外へ取り出し、活性化・増殖させて体内へ戻す療法です。

がん細胞を発見、認識、攻撃するなどそれぞれ役割を持つ免疫細胞を同時に増殖・活性化することで、より効果的にがん細胞と闘えるように免疫力を高めてくれます。

手術や抗がん剤治療、放射線治療が難しい転移・再発したがんに対しても効果が表れるケースもあります。

6種複合免疫療法に関する詳細は、こちらよりご確認ください。

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