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多段階発がんとは? 遺伝子変異が起こる要因や予防法、治療法をご紹介

がんは日本人にとって身近な疾患です。誰もがかかる可能性があり、がんに関するニュースを目にする日も多いでしょう。

今回は「多段階発がん」について紹介します。

多段階発がんの仕組みについて知りたい患者さんやそのご家族に向けて、遺伝子変異が起こる要因や予防法、治療法を解説します。免疫療法についても紹介していますので、ぜひ参考にご覧ください。

多段階発がんとは?


まずは、多段階発がんとはどのような疾患なのかを紹介します。

多段階発がんは、正常な細胞が複数の遺伝子変異を経てがん細胞に変化することで生じます。がんが発生するメカニズムの一つとして唱えられています。

大腸がんの研究者であるVogelsteinが唱えた説です。多段階発がんは一度に生じるわけではなく、時間をかけて徐々に蓄積していくため、加齢によってがんの発症するリスクが上がります。

がん細胞が淘汰されない理由

がん細胞が淘汰されない理由は何なのでしょうか。本来体にはアポトーシス、つまり細胞の自然死が起きる機能が備わっています。

ですが、がん細胞にはアポトーシスを回避する能力があるため増殖を続けてしまいます。

遺伝子変異が起こる要因


続いては、遺伝子変異が起こる要因を紹介します。

遺伝子変異が起こる複数の要因について、各項目ごとにで詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

遺伝子

遺伝子変異が起こる要因の1つ目は、遺伝子です。

生まれ持った遺伝子により、がんになりやすい体質の人がいます。大部分は生まれたときは正常で、加齢に伴い多段階発がんが起こりますので、先天的な遺伝病とは別物です。遺伝によるがんを遺伝性腫瘍(遺伝性がん)と呼ぶこともあります。

生活習慣

遺伝子変異が起こる要因2つ目は、生活習慣です。生活習慣のなかには、がんのリスクを高めてしまうものが存在します。

  • 喫煙
  • 過度のアルコール摂取
  • 不健康な食生活
  • 運動不足

などの習慣は、活性酸素の生成を促す・慢性的な炎症を引き起こすため、DNA損傷や細胞変異のリスクが高くなってしまいます。不健康な生活を送っている方は、健康のために今一度自分の生活習慣を見直してみましょう。

外部環境

遺伝子変異が起こる要因3つ目は、外部環境です。

外部環境は、場合によっては遺伝子変異を引き起こし、がんのリスクを高めてしまうリスクがあります。

  • 放射線
  • 化学物質への曝露(アスベストなど)
  • 感染症

など。

がんが進行していくプロセス


続いては、がんが進行していくプロセスを解説します。

がんの進行にも段階があり、正常な組織→異状細胞ができる→腫瘍になる→浸潤を起こす→転移するという順に進んでいきます。プロセスが進むということは、多段階発がんを起こす細胞が増えるということです。がんが進行する前に、適切な治療を受けることが大切です。

多段階発がんを予防するには


では、多段階発がんを予防するにはどうしたら良いのでしょうか。多段階発がんの予防策として、主に以下のようなことが挙げられます。

  • 健康的な生活習慣の維持
  • 化学物質や放射線への曝露の低減

健康的な生活習慣は、がん予防だけでなく、さまざまな疾患の予防に効果的です。過度な飲酒や喫煙を避け、バランスの良い食習慣を目指しましょう。

また、早期発見のためにできることとしては、定期的な健康診断・スクリーニング検査があります。

がんの代表的な治療法


次に、がんの代表的な治療法を紹介します。

がんの治療法は、患者さんの希望や生活環境、年齢を含めた体の状態、がんの進行状態などを見ながら、適した治療法を医師と決めていきます。また、がんの治療は妊娠や出産に影響することがあるため、将来子どもをもつことを希望している場合は事前に医師へ相談することが大切です。

手術療法

がんの代表的な治療法1つ目は、手術療法です。

手術療法は、外科手術によってメスでがん細胞を切り取る局所療法です。通常は、がん細胞だけでなく、転移している可能性がある周辺の正常な組織を含めて切除します。手術によって正常な機能が失われてしまう場合には、再建手術が検討されます。

手術の際には、麻酔をかけて痛みに配慮します。開腹手術や開胸手術、腹腔鏡下手術、胸腔鏡下手術、ロボット支援下手術などがあります。手術療法のメリットは、がん細胞を完全に切除できれば根治できる可能性があることです。

また、次に紹介する放射線療法や薬物療法と比べると、副作用が少ないという特徴もあります。

一方、手術療法のデメリットは、体に負担がかかり、がんの進行状況や部位によっては、一部臓器や機能が失われてしまう場合があることです。

さらに、がん細胞を取りきれない場合があることや、全身麻酔のリスクがあります。

くわえて、手術療法の合併症は、手術の部位によってさまざまです。手術後の身体機能の早期回復のために、手術前からリハビリテーションが行われるケースが多くあります。

主な合併症は、以下の通りです。

  • 出血
  • 感染症
  • 血栓症切除後の臓器機能低下

など。

放射線療法

がんの代表的な治療法2つ目は、放射線療法です。

放射線療法は、がん細胞とその周辺のみを治療する局所療法です。治療用放射線としては、X線、電子線、陽子線、重粒子線、α線、β線、γ線、中性子線などが用いられています。

体の外から放射線を当てる外部照射が一般的です。痛みはありませんが、じっと動かずに照射を受ける必要があります。放射線を照射することにより、がん細胞のDNAにダメージを与え、破壊することが可能です。

根治を目指す治療とがんの症状を緩和する治療があります。骨転移による痛み、脳転移による神経症状、がん組織による気管、血管、神経などの圧迫による症状などを和らげる効果も期待できます。

また、がんの手術前にがんをできるだけ小さくする目的でも放射線療法が行われます。放射線療法のメリットは、正常細胞への影響を抑えつつ、幅広い部位のがん細胞を殺傷できることです。

また、手術療法と比べて体への負担が少なく、年齢や体力的な制限が少ないという特徴もあります。臓器や体の機能を失うリスクが少ないことや、通院での治療が可能なことが多いこともメリットだと言えるでしょう。

放射線療法のデメリットは、一定期間、連続して受ける必要があることです。照射はおおむね10〜30分で、毎日行います。さらに術後に後遺症が残る可能性もあります。体や気持ちの辛さを感じた場合には、医療スタッフに相談しましょう。

薬物療法

がんの代表的な治療法3つ目は、薬物療法です。

薬物療法は、飲み薬や注射薬、点滴などを用いてがん細胞を攻撃したり増殖するのを抑えたりする全身治療です。再発や転移予防にも適しており、他の治療法と併用することもあります。薬物の種類は、以下の通りです。

化学療法(抗がん剤治療) 細胞の増殖の仕組みに着目した薬剤です。仕組みの一部を邪魔することでがん細胞を攻撃します。
内分泌療法(ホルモン療法) ホルモンの分泌や働きを阻害する薬剤です。ホルモンを利用して増殖するタイプのがんを攻撃します。
分子標的療法 がん細胞の増殖に関わるタンパク質や、栄養を運ぶ血管、がんを攻撃する免疫に関わるタンパク質などを標的にしてがんを攻撃する薬剤です。

薬物療法のメリットは、広範囲に転移したがんを治療可能なことです。一方、薬物療法のデメリットとしては、複数回治療を受けるケースが多いことが挙げられます。

薬物療法の主な副作用は、以下の通りです。

  • アレルギー反応
  • 口内炎
  • 下痢
  • 脱毛
  • 吐き気
  • 倦怠感
  • しびれ感
  • 肝臓障害
  • 腎臓障害
  • 高血圧
  • 造血器官障害
  • ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり・発汗)
  • 生殖器の症状
  • 血栓
  • 骨粗鬆症
  • 関節痛
  • 精神症状
  • しみ、肌荒れ、にきびのような発疹
  • 爪のまわりの炎症
  • 記憶力の障害
  • 体重増加

など。

薬物療法の副作用の出現には個人差があります。使用する薬剤については、医師や看護師から十分な説明を受けましょう。

免疫療法

がんの代表的な治療法4つ目は、免疫療法です。

免疫療法は、前述した3つの治療に続き、第4のがんの治療法と呼ばれています。免疫の力を利用してがんと闘う治療法で、他の治療法と併用可能です。免疫療法の種類には、免疫チェックポイント阻害薬による治療法と免疫細胞療法があります。免疫細胞療法の一部を紹介します。

樹状細胞ワクチン療法 樹状細胞ワクチン療法では、単球を培養・活性化させることで、がん細胞にアプローチします。樹状細胞ワクチンを使う療法は、効果が証明されていない免疫療法で、保険診療は適応されません。
アルファ・ベータT細胞療法(αβT細胞療法) アルファ・ベータT細胞療法とは、自己免疫力を高めることでがんを小さくしたり、がんが大きくなるのを遅くしたりと、免疫機能が働きやすい環境を作ることを狙った治療法です。
エフェクターT細胞療法 エフェクターT細胞療法は、がん細胞への攻撃力を強めるためにT細胞を体の外に取り出して行います。取り出したT細胞にがん細胞の目印を見分ける遺伝子を組み入れ、増殖させてから体の中に戻します。
ガンマ・デルタT細胞療法(γδT細胞療法) ガンマ・デルタT細胞療法とは、ガンマ・デルタ型のT細胞受容体を持つT細胞を活性化したものを利用する治療法です。ガンマ・デルタT細胞は、より的確にがん細胞を見つけて攻撃する効果があります。
NK細胞療法 自然免疫と呼ばれるNK細胞を活用し、特殊なNK細胞培養培地を用いることで、効率的に高い細胞殺傷能力を持ったNK細胞の培養ができます。
6種複合免疫療法 6種複合免疫療法とは、免疫細胞を一度体外へ取り出し、活性化・増殖させて体内へ戻す療法です。役割が異なる6種類の免疫細胞が1つのチームとなって働くことで、高い効果が期待できます。

免疫療法のメリットは、治療によって正常な細胞が傷つくことがなく、体力のない方や高齢者でも治療を受けられることです。重篤な副作用が少ないケースが多いため、安心して受けられます。

また、1回の治療法の時間が短く、入院する必要がないことが多いことも特徴です。がんの種類や部位、進行度を問わず、さまざまながんに対応している全身治療であるため、再発や転移予防としても効果的です。

一方、免疫療法のデメリットは、効果には個人差があるため、適した免疫療法を見極める必要があることです。健康保険が適用されないことが多いため、医療機関に事前に確認しましょう。

まとめ


今回は、多段階発がんについて紹介しました。

多段階発がんとは、がんが発生するメカニズムの一つで、正常な細胞が複数の遺伝子変異を経てがん細胞に変化することをいいます。遺伝子変異が起こる要因としては、遺伝子・生活習慣・外部環境などが考えられます。多段階発がんを予防するために、健康的な生活習慣の維持や化学物質や放射線への曝露の軽減が重要です。

がんの治療法としては、手術療法・放射線療法・薬物療法がよく知られています。この他に、免疫療法が新しい治療法として注目を集めています。治療にはさまざまな合併症や副作用が生じる可能性があります。

患者さん自身が自分の病状や治療の必要性、副作用などをよく理解しておくことが大切です。予測される副作用などを理解しておくことで、気持ちに余裕を持って治療と向き合えるでしょう。

同仁がん免疫研究所は、今回紹介した免疫療法の一つである「6種複合免疫療法」を行っている施設です。

同仁がん免疫研究所では、厚生労働省の許可を受けた細胞培養施設にて、極めて高度な安全管理体制のもとで細胞培養の委託を受けています。

細胞培養数は圧倒的で、約3週間で1,000から2,000個の細胞を20から50億個まで培養できます。

6種複合免疫療法についてより詳しく知りたい方は、こちらよりご確認ください。

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