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小児がんとは? 主な小児がんの種類や罹患率について詳しく解説

がんは高齢者だけでなく、さまざまな年代の人が罹患する可能性があります。また、がんの種類によっても好発年齢は異なります。

今回は、小児がん患者さんのご家族に向けて以下の情報をまとめました。

  • 小児がんとは
  • 小児がんの種類
  • 小児がんの罹患率
  • 小児がんの治療法

を紹介します。ぜひ参考にご覧ください。

小児がんとは?


そもそも小児がんとはどのようながんなのかを解説します。小児がんとは、0歳から14歳の子どものがんの総称です。

「小児がん」と一口に言っても、血液のがんである白血病や脳腫瘍、悪性リンパ腫などさまざまながんの種類があります。0歳から14歳の子どもの中で1年間にがんと診断されるがんの数は約2,100例です。

(参考:がん情報サービス 小児・AYA世代のがん罹患

0歳から14歳の子どもの死亡原因の中で、約10%が小児がんによって亡くなっていることがデータから分かっています。

(参考:がん情報サービス 小児がんの患者数(がん統計)

主な小児がんの種類


続いては、主な小児がんの種類を見ていきましょう。

小児が患うことが特に多いと言われている、7つの小児がんの詳細を紹介します。これらのがんは大人が患うがんとは割合が異なり、中には大人が患うことの少ないがんもあります。

白血病

小児が患うことが特に多いと言われているがんの1つ目は、白血病です。白血病は血液のがんで、小児がんの中でも最も多いがんだと言われています。

血球ががん化した細胞となり無制限に増殖するのが、白血病の特徴です。白血病といってもさまざまな種類があり、患者さんの割合は以下のとおりです。

急性リンパ性白血病(ALL)は約70%。

急性骨髄性白血病(AML)は約25%。

それぞれの白血病について、どのような疾患かを簡単に紹介します。

まず急性リンパ性白血病(ALL)とは、白血球の一種であるリンパ球に異変が起こるがんです。リンパ球が成長途中の段階で遺伝子異常が起こることにより、白血病細胞が増殖してしまう疾患です。急性リンパ性白血病の発症の原因の多くは、分かっていません。

次に、急性骨髄性白血病(AML)について紹介します。急性骨髄性白血病は、血液をつくる過程に異変が起こることで生じるがんです。未熟な血液細胞の「骨髄球系前駆細胞」に遺伝子異常が起こり、白血病細胞が増殖することで発症します。「骨髄球系前駆細胞」に遺伝子異常が起こる原因は、分かっていません。

また、白血病の代表的な症状は以下のとおりです。

  • 貧血
  • 出血
  • 感染
  • 肝臓や脾臓(ひぞう)の腫れ
  • 発熱
  • 骨痛
  • 頭痛
  • 吐き気
  • 嘔吐

など

 

脳腫瘍

小児が患うことが特に多いと言われているがんの2つ目は、脳腫瘍です。

脳腫瘍とは頭蓋骨の内側にできる腫瘍の総称です。さまざまな脳腫瘍の種類があり、全体で約150種にも分類できます。小児がんでよく見られる脳腫瘍を見ていきましょう。

 神経膠腫(グリーマ) 神経膠腫はグリーマと呼ばれることもある脳腫瘍です。神経膠細胞から発生する腫瘍のことを言います。神経膠腫は、2種類に分けられます。

 

・低悪性度グリオーマ

・高悪性度グリオーマ

 

低悪性度グリオーマは、グレード1・2にあたります。高悪性度グリオーマは、グレード3・4にあたります。

 上衣腫 上衣腫は、脳室を形作る細胞である上衣細胞に関連する腫瘍です。子どもでは脳の後ろ側に多く上衣腫が発生します。
 髄芽腫 髄芽腫は、小脳の細胞から発生する腫瘍です。20歳未満で発症することが多い疾患です。
 頭蓋咽頭腫 頭蓋咽頭腫は、下垂体や視床下部付近に発生する腫瘍です。体内へ広がることはありません。ただし、増殖すると成長や視覚などに影響を及ぼす可能性があります。
 胚細胞腫瘍 胚細胞とは受精卵から胎児へと形作られる細胞のことです。胚細胞腫瘍は、胚細胞が体のほかの部位に移動して増殖してしまうことで生じます。脳の正中線上に発生することが多い疾患です。
 遺伝性脳腫瘍 遺伝性脳腫瘍は、染色体や遺伝子の変化によって引き起こされます。結節性硬化症やフォン・ヒッペル・リンドウ病などは代表的な遺伝性脳腫瘍です。

また、脳腫瘍の代表的な症状は以下のとおりです。

  • 頭痛
  • 吐き気
  • 不機嫌
  • 意識障害
  • 手足の麻痺

など

リンパ腫

小児が患うことが特に多いと言われているがんの3つ目は、リンパ腫です。リンパ腫は血液がんの一種です。白血球の中のリンパ球ががん化したものをリンパ腫と言います。

リンパ球とは白血球の成分の1つです。リンパ球は、B細胞、T細胞、NK細胞などに分類されます。B細胞、T細胞、NK細胞は、ウイルスなどの病原体やがん細胞などの異物を攻撃する役割を担っています。さらに異物を記憶する能力もあり、異物が再び侵入してきたときには、記憶に基づいて排除することができます。

リンパ腫は、10歳前後から発症するケースが多い疾患です。リンパ腫の症状はさまざまです。

  • 痛みのないリンパ節の腫れ
  • 発熱
  • 寝汗
  • 体重減少
  • 呼吸困難
  • 血流障害
  • 麻痺

など

リンパ腫は、緊急で治療が必要になる場合もあるため注意が必要です。

胚細胞腫瘍

小児が患うことが特に多いと言われているがんの4つ目は、胚細胞腫瘍です。胚細胞腫瘍は、胎児のときの精子や卵子になる前の未成熟な細胞である「原始生殖細」から生じた腫瘍の総称です。

胚細胞腫瘍は、主に以下の2つに分けられます。

  • 精巣や卵巣など性腺由来のもの
  • 仙尾部、後腹膜、前縦隔、頸部、頭蓋内など性腺外由来のもの

 

胚細胞腫瘍の症状は、腫瘍がどこから発生したかによってもさまざまです。

精巣由来の胚細胞腫瘍では、陰嚢の一部に腫れが現れることが知られています。

卵巣由来の胚細胞腫瘍では、腹痛、腹部のこぶ・固まりなどが生じることも。

仙尾部由来の胚細胞腫瘍では、臀部のこぶ・固まりが生じます。

一方、後腹部由来の胚細胞腫瘍では、腹部のこぶ・固まりが生じる可能性があります。

前縦隔由来の胚細胞腫瘍・頸部由来の胚細胞腫瘍では、呼吸困難が生じます。

頭蓋内由来の胚細胞腫瘍では、ホルモンの異常や物が二重に見えるなどの症状が生じます。

神経芽腫

小児が患うことが特に多いと言われているがんの5つ目は、神経芽腫です。

神経芽腫とは、交感神経節や副腎髄質などから生じるがんのことを言います。

交感神経節は、脊椎に沿って連なる交感神経幹の中にある交感神経の集まりのことです。交感神経節は、自律神経の一つです。内臓の働きを調節したり、血管を収縮させる働きがあります。

一方、副腎髄質は左右の腎臓の上にある副腎の中心部のことを言います。アドレナリンやノルアドレナリンを分泌する役割を持ちます。体のストレス反応などの調節が副腎髄質の主な仕事内容です。

神経芽腫は、約65%が腹部で発生します。その他にも頸部、胸部、骨盤部などからも発生するケースが知られています。また、5歳未満の子どもで発生するケースが多いと言われています。

初期の神経芽腫では無症状であることが多く、進行すると以下のような症状が現れます。

  • 腹部の腫れやしこり
  • 発熱
  • 貧血
  • 不機嫌
  • まぶたの腫れ
  • 歩かなくなる
  • 皮下出血

など

胸部から発生した場合には、咳、息苦しさ、肩からの腕の痛みなどの症状が現れる可能性もあります。その他にも目をきょろきょろさせたり、自分の意志とは無関係な動きをしてしまうといった症状が見られることもあります。

軟部腫瘍

小児が患うことが特に多いと言われているがんの6つ目は、軟部腫瘍です。

軟部肉腫は、体の軟部組織から発生した悪性腫瘍のことを言います。軟部組織とは体を作る軟らかい組織のことです。肺や肝臓などの臓器と骨や皮膚は含まれません。

軟部腫瘍は、全小児がんの5〜6%を占める疾患です。軟部肉腫の主な症状は痛みのないしこりや腫れですが、場合によっては痛みがあるしこりができたり、皮膚の色が変わったりするケースもあります。

骨腫瘍

小児が患うことが特に多いと言われているがんの7つ目は、骨腫瘍です。骨に発生するがんは主に以下の2種類があります。

1つ目は、転移性骨腫瘍です。転移性骨腫瘍は、他の臓器に発生したがんが骨に転移した腫瘍のことを言います。

2つ目は、原発性骨悪性腫瘍です。原発性骨悪性腫瘍は、骨肉腫と言われる腫瘍です。

骨腫瘍は、10歳代の思春期の頃に発生しやすいと言われています。膝の上下部分や上腕骨の骨などに発生するケースが多い傾向にあります。

骨腫瘍の主な症状は、発生した箇所の痛みや腫れです。腫瘍が発生した部位を骨折するケースもあります。痛みが続く場合は医師の診察を受けるようにしましょう。

小児がんの罹患率


続いては、小児がんの罹患率を紹介します。小児がんの罹患率は以下のとおりです。

 白血病  31%
 脳腫瘍  22%
 リンパ腫  9%
 胚細胞腫瘍  7%
 神経芽腫  6%
 軟部腫瘍  4%
 骨腫瘍  4%

小児がんが発生しやすい主な部位


次に、小児がんが発生しやすい主な体の部位を紹介します。

 脳・頭蓋内 脳腫瘍・リンパ腫
 頭・首 横紋筋肉腫・リンパ腫
 目・眼窩 神経芽腫・網膜芽腫
 胸 神経芽腫・リンパ腫・肺細胞腫瘍
 腕・足 骨肉腫・ユーイング肉腫・横紋筋肉腫
 腹腔内(お腹) 肝芽腫・リンパ腫
 縦隔膜(お腹の背中側) 神経芽腫・胚細胞腫瘍・腎芽腫
 精巣・卵巣 横紋筋肉腫・胚細胞腫瘍

小児がんの治療法


最後に、小児がんの治療法を紹介します。

小児がんの治療法には、主に薬物療法や手術療法、放射線療法などがあります。

それぞれの治療法について解説します。

薬物療法とは、化学療法剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤などの薬物を利用した治療方法です。薬物によって、がん細胞の増殖を防いだり死滅させる効果が期待できます。見えないがん細胞にも効果があるとされており、転移のあるがんや白血病、リンパ腫の治療に選択されることが多いです。小児がんでは、薬物療法による治療効果が高いことが報告されています。

手術療法とは、がんを切除によって取り除く治療法です。がんの転移や浸潤がない場合に検討される治療法で、がんの初期に根治目的として行われることが多いです。

放射線療法とは、放射線をがんに放射することで、細胞の遺伝子に損傷を与える治療法です。細菌では、正常細胞へのダメージが少ない放射線療法が研究されています。放射線療法は通院で受けられることもあり、比較的負担の少ない治療法です。放射線療法も薬物療法同様に、小児がんでの治療効果が高いことが報告されています。

この他にも造血幹細胞移植という治療法もあります。造血幹細胞移植とは、通常の治療法だけでは治すことが難しいがんに適応されます。血液がんや免疫不全症といった疾患に対して、完治させることを目的として行われる治療です。造血幹細胞移植は、強い副作用や合併症を生じる可能性があります。ですので造血幹細胞移植を行うかどうかは、患者さんごとに慎重な検討が必要となります。

また、複数の治療法を組み合わせた集学的治療が行われるケースもあります。

まとめ


今回は小児がんについて、患者さんのご家族に向けて以下の内容を紹介しました。

  • 小児がんとは
  • 小児がんの種類
  • 小児がんの罹患率
  • 小児がんの治療法

小児がんの種類はさまざまであり、それぞれ特徴が大きく異なります。

効果的な治療法もがんの部位によって異なりますので、医師と相談の上最適な治療方法を見つけていく必要があります。

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