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胃がん末期でも治った人はいる? ステージ別生存率や治療法について解説

がんは発生部位や発症年齢、進行度などさまざまな要因により予後が左右されます。では、胃がん末期からがんが治った人はいるのでしょうか。

今回は胃がんのステージ別生存率や治療法について解説します。胃がん患者さんや親族の方は、ぜひ参考にご覧ください。

胃がんとは?


まず、胃がんとはどのようながんのことなのか、概要を紹介します。

胃がんは、胃の壁の内側を覆う粘膜の細胞が何らかの原因でがん細胞になり発症します。がん細胞は徐々に胃の内側から外側へと進行していきます。

さらに進行すると、胃の周囲の臓器である大腸、膵臓(すい臓)、肝臓、横隔膜などにも広がります。このように周囲の臓器などに広がっていくことを浸潤と呼びます。

また、胃の外側にがんが進行すると腹膜播種が起こったり、胃から離れた臓器に遠隔転移したりするケースもあります。

胃がんの組織分類として、分化型と未分化型の2つに分けられます。

分化型は、比較的進行が緩やかという特徴があります。

一方、未分化型は比較的進行が早い傾向にあります。

進行の早い、スキルス胃がんとは?

続いては、進行の早いスキルス胃がんについて解説します。

胃がんの中には、胃の壁を厚く硬くさせながら広がるタイプのものがあり、スキルス胃がんと呼ばれます。スキルス胃がんは進行が早く、診断時には既にかなり進行しているケースが多いです。

さらに、腹膜播種が起こりやすいという特徴もあります。スキルス胃がんの好発年齢や性別は、30〜40代の女性です。

胃がんの末期症状

胃がんは初期症状がほとんどありません。進行すると以下のような症状が出てくることがあります。

  • 食欲不振
  • 胸やけ
  • 吐き気
  • 背中、胸の痛み
  • 倦怠感
  • 体重減少
  • 黒い便

など。

さらに末期になってくると、以下のような症状も出てくることがあります。

  • 胃の消化、胃からの栄養吸収が難しくなる
  • 腹部膨満感
  • むくみ
  • 排尿障害
  • 吐血
  • 貧血
  • 下痢、軟便
  • 不眠
  • 味覚障害
  • 腹水がたまりやすくなる

など。

 

胃がんのステージ


続いては、胃がんのステージ(病期)を紹介します。胃がんのステージは、Ⅰ期~Ⅳ期まであり、以下の3つのカテゴリの組み合わせでステージが決まります。(TNM分類)

  • T:がんの深達度
  • N:胃の近くにあるリンパ節への転移の有無
  • M:がんから離れた場所にある臓器やリンパ節への転移の有無

 

胃がんのステージには、臨床分類と病理分類の2つがあります。臨床分類と病理分類について、次章で詳しく解説します。

臨床分類

臨床分類は、胃がんが発覚し最初に治療方針を決めるときに使用します。画像診断、生検、審査腹腔鏡などの結果に基づいてがんの広がりを「推定」する分類方法です。胃がんの臨床分類は、以下の通りです。

遠隔転移 なし(M0) あり(M1)
なし(N0) あり(N+) 有無にかかわらず
T1a/T1b、T2 ⅡA ⅣB
T3、T4a ⅡB
T4b ⅣA

病理分類

病理分類は、手術で切除した病変を診断して実際のがんの広がりを評価した分類です。一度手術をした後にどのように治療を進めていくのかを判断する際にも使われます。

ただし分類結果は、臨床分類と一致しないこともあります。胃がんの病理分類は、以下の通りです。

遠隔転移 なし(M0) あり
なし(N0) 1〜2個

(N1)

3〜6個(N2) 7〜15個

(N3a)

16個以上(N3b) 有無にかかわらず
T1a,T1b ⅠA ⅠB ⅡA ⅡB ⅢB
T2 ⅠB ⅡA ⅡB ⅢA ⅢB
T3 ⅡA ⅡB ⅢA ⅢB ⅢC
T4a ⅡB ⅢA ⅢA ⅢB ⅢC
T4b ⅢA ⅢB ⅢB ⅢC ⅢC

胃がん末期でも治った人はいる? ステージ別生存率


胃がん末期でもがんの進行を抑えられる人もいます。ここからは胃がんのステージ別の5年生存率(ネット・サバイバル)を紹介します。5年生存率とは「治療してから5年後に生きている人の割合」です。治療後5年間再発しなければその後の再発の可能性は低くなるため、5年という一つの基準を設け、指標としています。

胃がん全体でのステージ別生存率は、以下の通りです。

病期 対象数 集計対象

施設数

生存状況把握

割合

平均年齢 実測生存率 ネット・サバイバル
全体 103,113 442 98.1% 71.3歳 62.3% 70.2%
Ⅰ期 75,213 442 97.7% 71.4歳 82.0% 92.8%
Ⅱ期 9,610 442 98.3% 71.4歳 60.2% 67.2%
Ⅲ期 10,007 442 98.9% 71.1歳 37.4% 41.3%
Ⅳ期 7,562 441 99.1% 70.3歳 5.8% 6.3%

(参考:がん情報サービス 院内がん登録生存率集計結果閲覧システム

胃がん末期における食事


続いては、胃がん末期における食事について解説します。

胃がん末期の場合、体の状態や治療の影響で療養が必要になるケースも多くあります。胃がんの場合、食事の際に気を付けることがあります。末期がんの場合は手術をすることも少ないですが、もし手術をした場合はダンピング症候群と呼ばれる症状が出る可能性があるため、注意が必要です。

ダンピング症候群とは、胃を切除した後の食事で、食物が腸に急速に流れ込むことで発生します。動悸、めまい、冷汗、顔面紅潮などの症状が表れることがあります。

ダンピング症候群の対策法としては、食事の回数や食事の量を減らす、ゆっくり噛む、糖分を控えるなどの方法があります。また逆流性食道炎も起こりやすいので、夕食を早めにとる、脂肪分の多い食事は控えるなどのことにも気を付けましょう。

胃がん末期の治療法


続いては、胃がん末期の治療法を解説します。

療養が必要な胃がん末期でも、いくつかの治療を行えます。主な治療法を次章で紹介します。

※この記事では、「ステージ4の胃がん」を「胃がん末期」と表現しています。

薬物療法

胃がん末期の治療法1つ目は、薬物療法です。

がんの薬物療法では、「化学療法」「内分泌療法(ホルモン療法)」「分子標的療法」などの薬剤を使用します。胃がんでは、臨床分類・病理分類どちらかでステージ4と診断されたときに薬物療法を検討します。

胃がんの薬物療法で使う薬には、細胞障害性抗がん薬、分子標的薬などがあります。これらの薬を単独もしくは組み合わせて、点滴もしくは内服で治療します。どの薬を用いるのかは、医師と相談の上決定してください。

薬物療法だけでがんを完全に治すことは難しいですが、転移しているがんの進行を抑えたり、がんによる症状を緩和したりできます。薬物療法では、副作用についても把握しておくことが大切です。薬ごとにさまざまな副作用が起こり得るため、細胞障害性抗がん薬の主な副作用を表形式で紹介します。

治療直後にあらわれる副作用 アレルギー反応
治療から1~2週間程度の期間にみられる副作用 吐き気、食欲低下、だるさ、口内炎、下痢など
2週間以降からみられる副作用 脱毛、手足のしびれ、皮膚の異常(色素沈着や乾燥など)など
採血でわかる副作用 肝機能障害、腎機能障害、血液の異常(白血球減少や血小板減少、貧血など)

分子標的薬の主な副作用は、以下の通りです。

  • 悪心
  • 嘔吐
  • 貧血
  • 骨髄抑制(白血球減少など)
  • 食欲不振
  • 末梢神経障害
  • 下痢
  • 手足皮膚反応
  • 腎障害
  • 口内炎
  • 脱毛

など。

副作用の詳細については事前に医師に確認しておきましょう。

放射線療法

胃がん末期の治療法2つ目は、放射線療法です。

放射線療法では、局所に対する治療が行えますので、がんの部分にピンポイントで放射線をあてて治療します。胃がんに対する放射線療法は、がんを根治するというよりも進行がんや再発がんに対する補助的な治療をする役割です。胃がんによって食事ができない、痛みがあるなどの場合に、症状緩和目的で放射線を照射します。

また、胃がんの臨床分類でステージ4と診断されたときに放射線療法を検討します。

緩和手術

胃がん末期の治療法3つ目は、緩和手術です。

胃がんの臨床分類でステージ4と診断されたときに放射線療法を検討する場合があります。緩和手術とは、患者さんの苦痛を軽減させることを目的として行います。例えば、胃がんが他の臓器などに転移をして潰瘍が生じると、大量の出血や汚臭などが発生することがあります。緩和手術によって出血や汚臭などを防ぐことができるほか、入院が不要になるケースもあります。

対症療法(緩和ケア)

胃がん末期の治療法4つ目は、対症療法(緩和ケア)です。

対症療法(緩和ケア)は、がんの根治を目指す治療法ではありませんが、がんによる痛みや治療による副作用の症状が強い場合に、症状緩和を目指すために検討されます。緩和ケアは、がんが発覚したタイミングから受けられます。

不安をできるかぎり緩和するために、胃がんであることを告知されたタイミングから受けるのがよいでしょう。体のつらさだけではなく、治療を受ける方や家族の精神的な辛さや不安、苦しみを緩和するケアも行われます。緩和ケアの種類について、主に緩和ケアと専門的緩和ケアの2種類があります。緩和ケアは、がん患者に関わるすべての医療者によって提供される治療です。

一方、専門的緩和ケアは、緩和ケアについて特別なトレーニングを受けた専門家によって対応される治療です。

術前補助化学療法

胃がん末期の治療法5つ目は、術前補助化学療法です。

術前補助化学療法では、手術の前に抗がん剤を用いて治療を行います。がんを縮小させたり抑えたりする効果が期待できます。胃がんの臨床分類で遠隔転移なしでリンパ節転移ありのステージ4と診断された場合に選択するケースがあります。

胃切除・リンパ節郭清

胃がん末期の治療法6つ目は、胃切除・リンパ節郭清です。

手術によってがんと胃の一部、またはすべてを取り除くことを胃切除といいます。同時に、胃の周囲のリンパ節を取り除くリンパ節郭清を行うこともあります。胃がんの臨床分類で遠隔転移がないステージ4と診断された場合に選択するケースがあります。

胃がん末期でも検討できる免疫療法


次に、  胃がん末期でも検討できる免疫療法を紹介します。

ここまで紹介した治療法の他にも、胃がん末期で検討できる治療として免疫療法があります。免疫療法とは、免疫本来の力を利用してがんを攻撃する治療法です。免疫療法は、免疫チェックポイント阻害薬による治療と免疫細胞療法の2つに分けられます。

免疫チェックポイント阻害薬による治療

まずは免疫チェックポイント阻害薬による治療法の概要について紹介します。

免疫チェックポイント阻害薬は、免疫ががん細胞を攻撃する力を保つ薬です。T細胞にブレーキがかかる仕組みを「免疫チェックポイント」といい、この特性を利用して治療します。胃がんで承認されている免疫チェックポイント阻害薬は、オプジーボ(ニボルマブ)とキイトルーダ(ペムブロリズマブ)です。

免疫チェックポイント阻害薬の治療で起こり得る主な副作用について紹介します。

  • 間質性肺炎
  • 重症筋無力症
  • 心筋炎
  • 筋炎
  • 横紋筋融解症
  • 大腸炎
  • 重度の下痢
  • 1型糖尿病
  • 免疫性血小板減少性紫斑病
  • 肝機能障害、肝炎、硬化性胆管炎
  • 甲状腺機能障害
  • 神経障害
  • 腎障害
  • 副腎障害
  • 脳炎
  • 重度の皮膚障害
  • 静脈血栓塞栓症
  • 注入時過敏反応

など。

免疫細胞療法

次に、免疫細胞療法の概要について紹介します。

免疫細胞療法には、免疫細胞が攻撃する力を強める効果があります。薬物療法と並行して治療を受ける方もいらっしゃいます。免疫細胞療法といってもさまざまな種類の治療法がありますので、ここではいくつかの治療法について表形式で概要や特徴を紹介します。

アルファ・ベータT細胞療法 アルファ・ベータT細胞療法は活性化リンパ球療法のひとつであり、自身の血液を採取しT細胞を大幅に増殖させて活性化した後に体内へ戻します。化学療法や放射線療法の効果を増すことも期待できると考えられています。多くの機関で長年行われており、信頼性が高いという特徴もあります。
活性化Tリンパ球療法 活性化Tリンパ球療法では、患者さんの血液からリンパ球を取り出し活性化・増殖させて体内に戻します。医療関係者からは、ラックと呼ばれることもあるそうです。
NK細胞療法 NK細胞は、がん細胞を発見すると真っ先に単独で攻撃する能力を持っています。NK細胞療法ではこの仕組みを利用して、自身の免疫細胞を用いてがん細胞にアプローチします。特殊なNK細胞培養培地を用いることで、効率的に高い細胞殺傷能力を持ったNK細胞の培養が可能です。
6種複合免疫療法 6種複合免疫療法は、免疫細胞を一度体外へ取り出し、活性化・増殖させて、がんと闘う力を強くして体内へ戻す療法です。がん細胞を発見、認識、攻撃するなどそれぞれ役割を持つ免疫細胞を同時に増殖・活性化することで、より効果的にがん細胞と闘えるように免疫力を高めてくれます。

まとめ


今回は、胃がん末期でも治った人はいるのかどうか、情報をまとめました。

胃がんの末期でも症状の進行を抑えられる可能性があります。治療法も多岐にわたり、薬物療法や放射線療法、緩和手術、対処療法、術前補助化学療法、胃切除・リンパ節郭清などが検討されます。また、免疫チェックポイント阻害薬による治療や免疫細胞療法を取り入れるケースもあります。治療法については、医師とよく相談の上決定しましょう。

同仁がん免疫研究所は、今回紹介した免疫療法の一つである「6種複合免疫療法」を行っている施設です。

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細胞培養数は圧倒的で、約3週間で1,000から2,000個の細胞を20から50億個まで培養できます。

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