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食道がんとげっぷの関係性とは? その他の初期症状や治療法について解説

がんは、生じた部位や進行度によってさまざまな症状が現れます。食道がんの初期症状として、代表的なものにげっぷがあります。

今回は食道がんによるげっぷで悩んでいる患者さんやそのご家族に向けて、情報をまとめました。初期症状や治療法についても解説していますので、ぜひ参考までにご覧ください。

食道がんとは?


まず食道がんとは、どのような病気なのでしょうか。食道がんは、食道の粘膜にある細胞ががん化することで生じます。初期にはこれといった自覚症状がないケースがほとんどです。

中高年の男性に好発し、喫煙やアルコールの過剰摂取などがリスクになるといわれています。進行が早く、有効な治療法が限られているため、異変を感じたら早期に医療機関を受診しましょう。

食道がんの種類

続いては、食道がんの種類を解説します。

食道は、主に「頸部食道」「胸部食道」「腹部食道」の3つに分けられます。食道入口部から胸骨上縁の高さまでの部分を、頸部食道と言います。胸骨上縁から食道裂孔上縁までを胸部食道、 食道裂孔上縁から食道胃接合部までを腹部食道と言います。

このうち、日本人は胸部食道がんになりやすい傾向にあります。胸部食道は、心臓や大動脈、気管などと接しているため、手術には高い技術が必要とされます。

食道がんとげっぷの関係性


次に、食道がんとげっぷの関係性を見ていきましょう。

げっぷは、食道がんの初期症状の一つであることが知られています。通常のげっぷと異なり、頻繁に起こるという特徴があります。

他の消化器系の病気とも似た症状が現れ、食道の内壁が硬くなって、食事の際に痛みを感じることもあります。逆流性食道炎は食道がんの原因の一つであるため、逆流性食道炎によるげっぷにも注意が必要です。

食道がんによってげっぷが引き起こされるメカニズム

次に、食道がんによってげっぷが引き起こされるメカニズムを解説します。

げっぷが起きる原因は、食道の内部に腫瘍が形成され、食物や液体の通過が妨げられて、詰まったように感じることです。腫瘍の位置や大きさによって胃の内容物が食道に逆流しやすくなるため、注意しましょう。

げっぷ以外の食道がんの初期症状


続いては、げっぷ以外の食道がんの初期症状を紹介します。食道がんは進行していくにつれ、以下のような症状が生じます。

  • 飲食時に胸の違和感がある(胸の奥がチクチク痛む、熱いものを飲んだときにしみる感じがするなど)
  • 飲食物がつかえる感じがする
  • 体重が減る
  • 胸や背中が痛む
  • 咳が出る
  • 嗄声(声のかすれ)がある

など。

食道がんかも?と思ったら

では、食道がんかも?と思ったらどうしたら良いのでしょうか。げっぷをはじめとした初期症状を疑う場合には、すぐに医療機関を受診することを推奨します。早期に発見することで、治療の成功率が高まるため、定期的な健康診断を受けることも大切です。

また、食生活や喫煙習慣、アルコール摂取の習慣がある人は、生活習慣を改善することが重要です。

早期がんから末期がんまで食道がんのステージ分類

続いては、早期がんから末期がんまで食道がんのステージ分類を紹介します。

病期とは、がんの進行度を示す指標です。がんがどの程度広がっているかを表しています。食道がんでは0期(早期がん)〜Ⅳ期(末期がんと呼ばれることが一般的)までのステージがあります。

0期:早期がん

Ⅰ期:転移のない粘膜下層浸潤がん

Ⅱ期・Ⅲ期:進行がん

Ⅳ期:切除不能がん

ステージは、次のTNMの3種のカテゴリー(TNM分類)の組み合わせで決まります。食道がんのT・N・M各因子の分類は、次の表の通りです。

T因子 T1a がんが粘膜内にとどまる
T1b がんが粘膜下層にとどまる
T2 がんが固有筋層にとどまる
T3r がんが食道外膜にまで広がっている。だが心膜や腹膜など隣接臓器への浸潤がなく切除できる
T3br がんが食道外膜にまで広がり、隣接臓器に湿潤している可能性があり、切除できるかどうかの境界である
T4 がんが食道周囲の肺、大動脈、気管などにまで明らかに広がっている
N因子 N0 リンパ節転移がない
N1 領域リンパ節内に、リンパ節転移が1−2個ある
N2 領域リンパ節内に、リンパ節転移が3−6個ある
N3 領域リンパ節内に、リンパ節転移が7個以上ある
M因子 M0 遠隔転移がない
M1a 切除に寄る治療効果が期待できるがんから離れたリンパ節への領域外リンパ節に転移がある
M1b M1a以外の領域外リンパ節または食道から離れた臓器である遠隔臓器に転移がある

(参考:がん情報サービス 食道がん 治療

食道がんには、上記のような日本の分類と国際的な分類(UICCによる分類)があります。

食道がんの治療法


次に、食道がんの一般的な治療法を紹介します。

食道がんのち療法としては、内視鏡的切除や手術療法などが知られていますが、治療を受ける方の希望やライフスタイル、年齢などによっても適切な治療法が異なります。

ここで紹介する治療法はあくまでも一般的なものですので、自身に合った治療法については主治医と相談して決めましょう。

内視鏡的切除

食道がんの一般的な治療法として、内視鏡的切除があります。食道がんの内視鏡的切除では、内視鏡を用いて食道の内側からがんを切除します。

早期がんで長さが5cm以内などの条件を満たしている場合に、食道を温存できる内視鏡的切除が標準治療として推奨されています。内視鏡的切除の対象は、リンパ節転移のない0期の早期食道がんのうち、食道の全周に及んでいないがん、あるいは全周に及んでいる場合は5cm以下のがんです。

がんが食道の3/4周以上に及んでいるときは、薬物を使用し狭窄を予防します。切除したがんを含む組織は、病理検査で詳細に調べ、今後の治療法を検討します。

内視鏡的切除の主な合併症は以下の通りです。

  • 出血
  • 穿孔
  • 狭窄
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 腹痛
  • めまい
  • 発熱

など。

治療後に何らかの体調の変化を感じた場合には、医師や看護師に相談しましょう。

手術療法

食道がんの一般的な治療法として、手術療法があります。

食道がんの手術療法では、がんを含めた食道と胃の一部を切除します。内視鏡的切除後に手術が実施されることもあり、手術療法はⅠ期の食道がんにおいて標準治療として推奨されています。がん細胞はリンパ節を通って全身に広がっていく性質があるため、同時にリンパ節を含む周囲の組織も切除します。

頸部食道がんの場合には、がんの大きさによって切除範囲が異なります。がんの大きさや場所によっては、咽頭や喉頭など、食道すべてを一緒に切除することもあります。食道の再建手術には、小腸の一部や胃を使用します。

咽頭や喉頭を切除した場合、呼吸をするための永久気管孔を首に作ります。声帯がなくなるため声が出せなくなってしまうため、発声法のリハビリテーションを行います。

胸部食道がんの場合には、右胸部と頸部と上腹部を切開する手術が一般的です。胸部食道全部と胃の一部を切除し、同時にリンパ節郭清も行います。胸腔鏡や腹腔鏡などを使用し、侵襲を小さくして行う手術も可能です。

食道の再建手術は、胃を引き上げて、残っている頸部食道とつなぎます。大腸や小腸を使用するケースもあります。

食道胃接合部がんの場合には、がんが食道側にどれくらい浸潤しているかによって、手術方法が異なります。がんが食道側へ大きく浸潤している場合には、胸部食道がんと同様に手術を行います。

食道側にあまり浸潤していない場合には、食道の下部と、胃の上半分または胃の全部を切除します。食道胃接合部がんの手術でも、周囲のリンパ節郭清が必要です。食道の再建には、残った胃や小腸、大腸を用います。

がんが大きくなって食道が著しく狭くなり、食物が通らなくなった場合には、バイパス手術を行います。がんのある食道を残し、胃や腸を使って、新しい食物の通り道をつくります。バイパス手術に代わって、食道ステントを挿入する場合もあります。

手術に伴う合併症は、以下の通りです。

  • 縫合不全
  • 肺炎
  • 嗄声(声のかすれ)
  • 肝障害
  • 腎障害
  • 心機能障害

など。

放射線療法

食道がんの一般的な治療法として、放射線療法があります。

放射線療法では、高エネルギーのX線などをがんに直接あてて小さくすることで、食道や胃、喉頭(声帯)の機能を温存できるというメリットがあります。食道がんの放射線療法には、根治照射と緩和照射の2種類があります。

根治照射 根治のために行う。放射線を照射できる範囲にがんの広がりがとどまっている場合に行える
緩和照射 げっぷなどの症状を緩和するために行う。原因になっている病変に対して照射する

早期がんのうちから放射線治療を受ける場合もあります。また、早期がんの治療後、再発予防として放射線療法を行うケースもあります。

放射線治療の主な副作用を紹介します。治療開始後2週間から3週間に起こる副作用は、以下の通りです。

  • 食道が炎症を起こすことによる痛みやつかえ感
  • 嗄声(声のかすれ)
  • 皮膚の乾燥、日焼けに似た症状
  • 白血球減少

など。

放射線治療後から数カ月から数年後に起こりうる副作用は、以下の通りです。

  • 肺炎
  • 心外膜炎
  • 心のう水貯留
  • 胸水貯留
  • 甲状腺機能低下

など。

薬物療法(化学療法)

食道がんの一般的な治療法として、薬物療法(化学療法)があります。食道がんの薬物療法の目的には、大きく2つのケースがあります。

根治を目指した集学的治療と、切除不能進行・再発食道がんに対する治療です。食道がんの薬物療法で使用される薬剤は以下の通りです。

細胞障害性抗がん薬 細胞が増殖する仕組みの一部を邪魔することで、がん細胞を攻撃する薬剤
免疫チェックポイント阻害薬 がん細胞が免疫にブレーキをかけるのを防ぐ薬剤

ⅣB期では、化学療法が標準治療とされています。食道がんの薬物療法の主な副作用を紹介します。

細胞障害性抗がん薬の副作用は、以下の通りです。

  • だるさ
  • 吐き気
  • 食欲不振
  • 口内炎
  • 髪や爪が伸びなくなる
  • 白血球の減少
  • 血小板の減少
  • 貧血
  • 便秘
  • 下痢

など。

免疫チェックポイント阻害薬の副作用は、以下の通りです。起こり得る主な副作用は以下の通りです。

  • 間質性肺炎
  • 大腸炎
  • 一型糖尿病
  • 甲状腺機能障害
  • 肝・腎機能障害
  • 皮膚障害
  • 重症筋無力症
  • 筋炎
  • ぶどう膜炎

など。

化学放射線療法

食道がんの一般的な治療法として、化学放射線療法があります。食道がんにおける化学放射線療法とは、薬物療法と放射線療法を組み合わせた治療法です。内視鏡的切除後に化学放射線療法が実施されるケースもあります。

Ⅰ期の食道がんでは、化学放射線療法が完治を目指した標準治療として推奨されています。一方、ⅣA期の食道がんでは、化学放射線療法が症状緩和を目指した標準治療として推奨されています。

免疫療法

食道がんの一般的な治療法として、免疫療法があります。

食道がんの免疫療法には、先述した免疫チェックポイント阻害薬も使用されます。

この他にも、免疫細胞療法というものがあり、樹状細胞ワクチン療法・エフェクターT細胞療法・NK細胞療法・アルファ・ベータT細胞療法(αβT細胞療法)・ガンマ・デルタT細胞療法(γδT細胞療法)・6種複合免疫療法などがあります。

免疫細胞療法は、重篤な副作用は少なく、軽い発熱・発疹程度です。他の治療法と組み合わせることも可能で、補助療法や再発予防として免疫療法を受けるケースがあります。

まとめ


今回は食道がんとげっぷの関係性について解説しました。

げっぷは食道がんの初期症状の一つです。通常のげっぷと異なり、頻繁に起こりますので、異変を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。

この他にも初期には、胸の奥がチクチク痛んだり、熱いものを飲んだときにしみる感じがしたりすることがあります。体重が減る、胸や背中が痛む、咳が出る、嗄声(声のかすれ)なども、食道がんの初期症状です。

食道がんの治療法としては、内視鏡的切除・手術療法・放射線療法・薬物療法(化学療法)・化学放射線療法・免疫療法があります。

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