がん患者様のためのお役立ちブログ
抗がん剤治療で食欲不振になる原因やタイミングについて解説・食事で工夫できるポイントとは?
抗がん剤治療においては、さまざまな副作用が生じることがあります。抗がん剤によるがんの治療によって、食欲が低下する可能性があることをご存知ですか?
今回は抗がん剤治療中のがんを患っている方やその家族の方に向けて、抗がん剤治療と食欲不振の関係性について情報をまとめました。
この記事を読むと
- 抗がん剤治療で食欲が失われる主な原因
- 食欲不振になるタイミング
- 食欲不振になった場合の食事の工夫
- 抗がん剤治療中に避けた方がよいもの
が分かります。ぜひ、参考にご覧ください。
INDEX
抗がん剤治療による食欲不振
冒頭でも紹介した通り、抗がん剤治療の副作用の一つに食欲不振があります。嘔吐、吐き気、味覚障害、口内炎、便秘、下痢などさまざまな症状が現れ、食欲不振に拍車がかかる可能性もあります。
食欲不振によってこれまで通り食事ができず、体重が減少してしまうと免疫力の低下につながってしまいます。食欲不振がある場合にはそのままにせず、適切に対処しましょう。
抗がん剤治療で食欲が失われる主な原因
次に、抗がん剤治療で食欲不振に陥る主な原因について紹介します。
消化管の正常な細胞が傷つくため、脳の食欲中枢や嘔吐中枢に影響が出るためという2つの原因について解説します。
消化管の正常な細胞が傷つくため
抗がん剤治療で食欲が失われる主な原因の1つ目は、消化管の正常な細胞が傷つくためです。抗がん剤は、がん細胞が増殖するのを防ぐ作用を持っています。この作用によってがん細胞だけでなく、消化管の正常細胞も同時に攻撃してしまうことがあります。
結果、抗がん剤治療によって消化管の細胞が傷付き、消化管障害が起きて食欲不振につながってしまいます。消化管障害では、具体的には口内炎・食欲不振・吐き気・嘔吐・下痢などの症状が現れます。また、食事が飲み込みにくくなったり詰まったりすることもあるため、注意が必要です。
脳の食欲中枢や嘔吐中枢に影響が出るため
抗がん剤治療で食欲が失われる主な原因の2つ目は、脳の食欲中枢や嘔吐中枢に影響が出るためです。
抗がん剤によってがん細胞や体内の正常な組織が攻撃を受けると、免疫細胞が免疫反応として炎症性物質(サイトカイン)が作り出されます。サイトカインによって食欲を刺激する神経の働きを抑えられ、結果として食欲不振につながります。
食欲不振になるタイミング
続いては、食欲不振になるタイミングについて解説します。
抗がん剤の副作用によって現れる食欲不振では、症状が生じるタイミングがある程度決まっています。もちろん個人差はありますので、必ず紹介する通りのタイミングというわけではありません。副作用のタイミングの目安を紹介します。
投与日 | 吐き気 |
嘔吐 | |
下痢 | |
投与日〜1週間目 | 吐き気 |
嘔吐 | |
食欲不振 | |
便秘 | |
下痢 | |
味覚変化 | |
嗅覚変化 | |
1週間目〜2週間目 | 口腔内乾燥 |
口内炎 | |
食欲不振 | |
下痢 | |
味覚変化 | |
胃のもたれ |
食欲不振になった場合の食事の工夫
続いては、食欲不振になった場合の食事の工夫について紹介します。
抗がん剤で食欲不振になった場合にできる食事の工夫について見ていきましょう。現在、副作用による食欲の低下でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
食べたいものを少しずつ食べる
食欲不振になった場合の食事の工夫1つ目は、食べたいものを少しずつ食べることです。食べられないときには無理をせず、食べられるときに食べたいものを少しずつ食べるようにしましょう。
また一度に食べる量を減らして、食べる回数を増やすこともおすすめです。ただし食べたいものを少しずつ食べる場合でも、脱水症状にならないように水分はできるだけ取ることも忘れずにしてください。
体を起こすのが辛い場合もあるので、横になったまま手軽に食べられるものを常備しておくことも大切です。
食べやすくする
食欲不振になった場合の食事の工夫2つ目は、食べやすくすることです。酸味や味の濃いものなど調味料で味付けを工夫して、食欲を刺激しましょう。
すっきりとした冷たいものを取り入れることがおすすめです。主食は、のり巻きや冷たい麺類など食べやすいものを用意すると良いでしょう。
栄養価の高いメニューにする
食欲不振になった場合の食事の工夫3つ目は、栄養価の高いメニューにすることです。
食欲があるときは主食・主菜・副菜をそろえ、消化が良く栄養価の高いものを食事メニューに取り入れてください。なるべくタンパク質が豊富な食べ物を選びましょう。食欲不振の場合でも食べやすい大豆食品や乳製品、卵料理がおすすめです。
盛り付けや食器を工夫する
食欲不振になった場合の食事の工夫4つ目は、盛り付けや食器を工夫することです。盛り付けや食器を工夫するのも、食欲増加に効果的だと言われています。
大きな器かつ盛り付ける量が多いと、見るだけで食欲がなくなってしまうこともありますので、なるべく小さな器に少量を盛り付けるようにしましょう。お気に入りの食器を使ったり果物や野菜を添えたりして、食卓を華やかにすることや食事の見た目を色彩豊かにすることが大切です。
栄養補助食品を利用する
食欲不振になった場合の食事の工夫5つ目は、栄養補助食品を利用することです。
食欲不振でどうしても食事が取れないときは、少量で多くの栄養を補える補助食品で栄養を補うことも有効です。補助食品には、クラッシュタイプの飲むゼリーやアイス、液状の栄養剤などさまざまな種類があります。副作用によって食欲が低下している場合には、医師や看護師にどのような栄養剤がよいか相談してみましょう。
【症状別】押さえておきたい食事のポイント
次に、症状別に押さえておきたい食事のポイントを紹介します。
症状1. 味覚障害がある場合
まず、味覚障害がある場合に押さえておきたい食事のポイントを紹介します。
味覚障害は、魚、鶏肉などのタンパク質や鉄分が豊富な食べ物を食べるときに起こりやすいと言われています。味覚障害の場合に押さえておきたい食事のポイントを紹介します。
味覚障害があるときには、亜鉛が含まれた食材を多く摂取することが大切です。食事の前に炭酸水やレモン水で味覚を刺激しましょう。食事が甘く感じてしまう場合には、みりんや砂糖は使わずに、味噌、塩、しょうゆなどを使用してください。苦味や金属味を感じる場合には、塩や醤油を控え、だしやスープの旨みを生かした汁物を食事の際に用意しましょう。
味を感じにくい場合には、自身がどのような味だと感じやすいか試してみる、食事の温度を人肌程度に調整してください。口内が乾燥しないように、こまめに水分を摂取することも重要です。
症状2. 口内炎ができている場合
次に、口内炎ができている場合に押さえておきたい食事のポイントを紹介します。
口内炎ができている場合に押さえておきたい食事のポイントを見ていきましょう。口内炎ができてしまったら、口当たりの良いものを選ぶようにしてください。形状を工夫したり、固い物は避け、柔らかく煮こんだり、裏ごししたりすると食べやすくなります。
温度や味付け、水分量にこだわることも大切です。食材の温度は体温に近づけ、香辛料や甘味料、酸味は控えてください。水分量が少ない食材は口内を傷つける可能性があるので控えることをおすすめします。
アルコールを避けること、生理食塩水でうがいすること、口内が乾燥するときは飴やガムを口に含むことも、口内炎ができている場合には効果的です。
症状3. 吐き気・嘔吐がある場合
次に、吐き気・嘔吐がある場合に押さえておきたい食事のポイントを紹介します。
吐き気や嘔吐がある場合に押さえておきたい食事のポイントを見ていきましょう。吐き気・嘔吐があるときには、ゆっくり、よくかんで食べることが大切です。食材は1〜2種類にして味付けはシンプルにしましょう。冷やすことで臭いが気にならなくなることもあるので、ときには冷たい温度で食べることも効果的です。ゼリーや果物など、飲み込みやすいものは、吐き気・嘔吐がある場合にも摂取しやすいでしょう。
レトルト食品や冷凍食品などを常備しておき、料理する気になれないときは利用することもおすすめです。同じものを続けて食べない、臭いの強い食品は控える、脂質や油分が多い食事は控える、食後2時間は横にならず椅子に座ってゆっくりと過ごすことも大切なポイントです。
抗がん剤治療中に避けた方がよいもの
続いては、抗がん剤治療中に避けた方がよいものを紹介します。
抗がん剤治療中に避けた方がよいものは、グレープフルーツ・脂肪分の多い食事・セントジョーンズワートです。それぞれの特徴を次章で詳しく解説します。
グレープフルーツ
抗がん剤治療中に避けた方がよいもの1つ目は、グレープフルーツです。グレープフルーツに含まれる苦味成分が、抗がん剤の吸収量を増加させ血中濃度を高めるため、副作用が強くでる可能性があります。特に内服の抗がん剤が影響を受けやすいとされているため、注意が必要です。
抗がん剤治療中は、柑橘類に気をつけましょう。グレープフルーツ・ぶんたん・スウィーティーなどは避け、オレンジ・みかん・レモン・かぼすなどは摂取しても問題ありません。マーマレードなどもなるべく避け、他の果物のジャムなどに変更してください。
脂肪分の多い食事
抗がん剤治療中に避けた方がよいもの2つ目は、脂肪分の多い食事です。
脂肪分の多い食事をした後に抗がん剤治療を受けると、血中濃度が変動してしまう場合があります。脂肪分の多い食事とは、例えば1回の食事熱量が900〜1000kcalの場合、脂質の量が50〜70gになるものです。
内服時間を調整したり、脂肪の多い食事の摂取を避けるなどの対応が必要です。極端に低脂肪の食事をしなければならないわけではないので、過度に気にする必要はありません。抗がん剤の種類や詳細については、医師や薬剤師に確認をすることをおすすめします。
セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)
抗がん剤治療中に避けた方がよいもの3つ目は、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)です。セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)は、天然ハーブの一種です。うつ病の治療薬として販売されていることもあります。抗がん剤と併用すると抗がん剤の血中濃度を低下させる可能性があるので、使用しないでください。
抗がん剤治療中におすすめの食事メニュー
最後に、抗がん剤治療中におすすめの食事メニューを紹介します。吐き気・食欲低下時のおすすめメニュー、口内炎があるときのおすすめメニューをピックアップしました。
吐き気・食欲低下時のおすすめメニュー
吐き気・食欲低下時のおすすめメニューは、卵と豆腐のはるさめスープです。材料は、以下の通りです。
- 絹ごし豆腐 100g
- はるさめ 20g
- かにかま 40g
- 卵 1個
- 水 2カップ
- 鶏ガラスープの素 大さじ1
- 酒、しょう油 各大さじ1
- 塩、こしょう 少々
- 片栗粉 大さじ1
作り方は以下の通りです。
- はるさめは食べやすい長さに、豆腐は一口大に切ります。かにかまはほぐします。
- 鍋に卵、水、鶏ガラスープの素、酒を入れ火にかけます。煮立ったら絹ごし豆腐、はるさめ、かにかまを入れ約3分煮ます。塩・こしょうをふります。
- 少量の水で溶いた片栗粉を入れ、とろみをつけます。
- 溶いた卵をまわし入れ、ふんわりとしたらすぐに火を止め完成です。
(参考:抗がん剤治療をうけられる皆様へ~食生活のアドバイス~)
口内炎があるときのおすすめメニュー
口内炎があるときのおすすめメニュー1つ目は、わらび餅です。材料は、以下の通りです。
- 片栗粉 50g
- 砂糖 50g
- 水 250〜300cc
作り方は以下の通りです。
- 片栗粉と砂糖と水をよく混ぜ、耐熱容器に茶こしなどでこしながら入れます。
- ラップをして電子レンジ200で、途中取り出してヘラなどで混ぜながら合計約5分間加熱します。
- 全体が透明でもちもちした食感になれば、 ヘラなどで混ぜ、スプーンで丸く形を整えながら氷水に落として冷やします。
- よく冷えたら水気を切って、好みできな粉や黒蜜、ジャムなどをかけて完成です。
(参考:抗がん剤治療をうけられる皆様へ~食生活のアドバイス~)
口内炎があるときのおすすめメニュー2つ目は、わらび餅です。
材料は、以下の通りです。
- 絹ごし豆腐 200g
- だし汁 180cc
- 塩 1g
- 砂糖 ひとつまみ
作り方は以下の通りです。
- まずミキサーに全ての材料を入れ、なめらかになるまで混ぜます。
- 味見して足りなければ、塩・砂糖で味を調えて完成です。
(参考:抗がん剤治療をうけられる皆様へ~食生活のアドバイス~)
まとめ
今回は
- 抗がん剤治療で食欲が失われる主な原因
- 食欲不振になるタイミング
- 食欲不振になった場合の食事の工夫
- 抗がん剤治療中に避けた方がよいもの
について紹介しました。
抗がん剤治療で食欲が失われてしまったら、そのままにせず食事の工夫を試してみてください。食欲の低下が続く場合や体重減少がある場合には、医師に相談しましょう。
今回紹介した抗がん剤治療の他にも、がん治療にはさまざまな方法があります。手術療法は、がんを切除によって取り除く治療法です。がんの転移や浸潤がない場合に検討される治療法で、がんの初期に根治目的として行われることが多いです。
放射線療法は、放射線をがんに放射することで、細胞の遺伝子に損傷を与える治療法です。
免疫療法は、治療を受ける方の体に元々備わっている免疫細胞を利用して、がんを治療する方法です。
免疫療法の一つである6種複合免疫療法では、私たちの体の中にある免疫細胞を一度体外へ取り出し、活性化・増殖させて体内へ戻して治療を行います。同仁がん免疫研究所は、6種複合免疫療法を行っている施設です。厚生労働省の許可を受けた細胞培養施設にて、極めて高度な安全管理体制のもとで細胞培養の委託を受けています。
6種複合免疫療法についてさらに詳しく知りたい方は、こちらよりご確認ください。
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