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多発性骨髄腫とは?症状や余命、治療方法を徹底解説します。

血液のがんの一種である「多発性骨髄腫」。近年、健康診断などで偶然発見されるケースも増えていますが、聞きなれない病名に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。本記事では、多発性骨髄腫の基本的な原因や症状から、最新の治療法、そして余命や生存率に関するデータまで、患者さまやご家族が知っておくべき情報を分かりやすく解説します。

多発性骨髄腫とは

多発性骨髄腫(たはつせいこつずいしゅ)は、血液細胞の一種である「形質細胞(けいしつさいぼう)」ががん化して異常に増殖してしまう病気です。これはいわゆる「血液のがん」の一つに分類されます。通常、骨の内部にある「骨髄」という場所で、がん化した細胞(骨髄腫細胞)が増え続け、正常な血液をつくる機能を妨げたり、骨を破壊したりすることで、全身にさまざまな症状を引き起こします。

形質細胞とは何か

形質細胞は、私たちの体を細菌やウイルスなどの外敵から守る「免疫」の働きにおいて非常に重要な役割を担っています。白血球の一種であるB細胞(Bリンパ球)が成熟してできる細胞で、侵入してきた異物を攻撃するための「抗体(免疫グロブリン)」をつくる工場のような存在です。

しかし、多発性骨髄腫になると、この形質細胞ががん化し、役に立たない不良品の抗体(これをMタンパクといいます)を大量につくり始めます。このMタンパクが血液や尿の中に溜まることで、血液がドロドロになったり、腎臓の機能を低下させたりといった悪影響を及ぼすのです。

日本における発症率と患者数

国立がん研究センターの統計によると、日本国内で多発性骨髄腫と診断される人は、人口10万人あたり約6.0人とされています。決して多い病気ではありませんが、高齢化に伴い患者数は年々増加傾向にあります。発症のピークは70歳代で、比較的男性にやや多い傾向が見られます。

参考:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)

多発性骨髄腫の原因

正常な細胞は、体からの指令に従って増えたり死滅したりしてバランスを保っています。しかし、何らかの原因で形質細胞の遺伝子に傷がつくと、細胞分裂のコントロールが利かなくなり、無秩序に増え続けるようになります。これががん化です。多発性骨髄腫では、この異常な細胞が骨髄を占拠し、さらに破骨細胞(骨を壊す細胞)を活性化させる物質を出すことで、骨をもろくしてしまうという悪循環が生まれます。

遺伝子異常と染色体異常について

多くの多発性骨髄腫の患者さまでは、骨髄腫細胞に特有の染色体異常や遺伝子変異が見つかることが分かっています。例えば、染色体の一部が入れ替わる「転座」や、染色体の数が増減する異常などです。ただし、これらの遺伝子異常がなぜ起こるのか、根本的な原因については、放射線被曝や化学物質への曝露などが一部で指摘されていますが、多くの場合は特定できていません。

年齢や性別との関係

この病気の最大のリスク要因は「加齢」です。40歳未満での発症は極めて稀で、診断される患者さまの多くは60歳以上です。また、性別では女性よりも男性にやや多く見られることが分かっていますが、その理由ははっきりとは解明されていません。生活習慣との関連性も研究されていますが、喫煙や肥満などがリスクを高める可能性が示唆されています。

多発性骨髄腫の症状

初期症状と早期発見のポイント

多発性骨髄腫は、初期段階では自覚症状がほとんどないことが特徴です。そのため、会社の健康診断や人間ドックで「貧血」や「タンパク尿」を指摘され、精密検査を受けて初めて発覚するケースが少なくありません。「なんとなく疲れが取れない」「腰が痛い」といった日常的な不調として見過ごされることも多いため、定期的な検診が早期発見の鍵となります。

骨の症状(骨痛・骨折・高カルシウム血症)

この病気の最も代表的な症状の一つが「骨の痛み」です。骨髄腫細胞は骨を溶かす細胞を刺激するため、骨がスカスカになり(骨粗鬆症のような状態)、痛みが生じたり、少しの衝撃で骨折しやすくなったりします。特に腰や背中の痛みを訴える患者さまが多く見られます。

また、骨が溶けることで骨に含まれていたカルシウムが血液中に大量に溶け出し、「高カルシウム血症」を引き起こすことがあります。これにより、激しい喉の渇き、吐き気、便秘、意識障害などが起こる場合があり、緊急の治療が必要になることもあります。

貧血による症状(倦怠感・息切れ・動悸)

骨髄の中でがん細胞が増えると、正常な赤血球をつくるスペースが奪われてしまいます。その結果、全身に酸素を運ぶ赤血球が不足し、貧血状態になります。階段を上っただけで息切れがする、常に体がだるい、顔色が悪い、動悸がするといった症状が現れます。これらは加齢による体力の衰えと勘違いされやすい症状です。

腎臓への影響(腎障害・腎不全)

がん化した細胞が作り出す大量のMタンパクは、血液に乗って腎臓に運ばれます。しかし、このタンパク質は腎臓のフィルターを詰まらせてしまい、腎臓の機能を著しく低下させます。進行すると腎不全となり、透析治療が必要になるケースもあります。むくみや尿量の減少が見られた場合は注意が必要です。

その他の症状(感染症・過粘稠度症候群)

正常な抗体が作られなくなるため、免疫力が低下し、肺炎や尿路感染症などの感染症にかかりやすくなります。また、血液中のMタンパク濃度が高くなりすぎると、血液がドロドロになって流れが悪くなる「過粘稠度(かねんちょうど)症候群」を起こし、頭痛やめまい、視力障害、鼻血などの症状が出ることがあります。

多発性骨髄腫の余命と生存率

5年相対生存率のデータ

かつて多発性骨髄腫は治療が難しい病気とされていましたが、近年の新薬の登場により治療成績は飛躍的に向上しています。国立がん研究センターのデータ(2014年~2015年診断例)によると、多発性骨髄腫の5年相対生存率は全体で約51.8%となっています。これは診断から5年後に生存している方の割合を示したものです。

参考:国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」

10年相対生存率のデータ

長期的な生存率についても改善傾向にありますが、10年相対生存率は約29.0%(2008年~2009年診断例)というデータがあります。ただし、これは15年以上前の治療環境に基づいたデータであり、現在ではより効果的な薬剤が多数使用可能になっているため、実際の生存率はこれよりも高くなっていると考えられます。

予後を左右する要因

生存率や余命はあくまで統計データであり、個々の患者さまによって状況は大きく異なります。予後(病気の見通し)を左右する要因としては、年齢、腎機能の状態、染色体異常のリスク分類(標準リスクか高リスクか)、そして治療への反応性が挙げられます。特に近年では、染色体異常のタイプに応じた治療戦略が重要視されています。

近年の治療成績の向上

2000年代以降、プロテアソーム阻害薬や免疫調節薬、抗体医薬といった画期的な新薬が次々と承認されました。これにより、以前は「不治の病」に近いイメージがあった多発性骨髄腫も、糖尿病や高血圧のように「薬でコントロールしながら長く付き合っていく病気(慢性疾患)」へと変わりつつあります。

多発性骨髄腫の検査方法

血液検査

診断の第一歩となるのが血液検査です。赤血球や白血球の数だけでなく、総タンパク、アルブミン、カルシウム、クレアチニン(腎機能)の値を調べます。特に重要なのが「タンパク分画」という検査で、Mタンパクが存在する場合に見られる特徴的な波形を確認します。また、免疫グロブリン(IgG, IgA, IgMなど)の量も測定します。

尿検査

尿の中にMタンパクの一種(ベンスジョーンズタンパク)が含まれていないかを調べます。通常の試験紙による尿検査では検出できないことがあるため、特殊な検査を行う必要があります。また、24時間の尿をすべて溜めて検査することで、1日にどれくらいのタンパクが出ているかを正確に測ることもあります。

骨髄検査

確定診断のために不可欠なのが骨髄検査です。通常、骨盤の骨(腸骨)に針を刺し、骨髄液を吸引する「骨髄穿刺(こつずいせんし)」を行います。採取した骨髄液の中に、がん化した形質細胞(骨髄腫細胞)がどれくらい増えているか、またどのような染色体異常があるかを顕微鏡や遺伝子検査で詳しく調べます。

画像検査

全身の骨の状態を確認するために、レントゲン(X線)検査を行います。多発性骨髄腫では、骨が丸く打ち抜かれたように溶ける「打ち抜き像」が特徴的です。より詳しく調べるために、CT、MRI、PET-CTなどの検査を行い、骨の病変や骨髄外への腫瘍の広がりを確認します。

多発性骨髄腫の診断基準

SLiM基準

近年重要視されているのが「SLiM(スリム)基準」です。これは症状が出る前であっても、以下のいずれか一つでも該当すれば治療を開始すべきという基準です。

S (Sixty): 骨髄中の形質細胞が60%以上
Li (Light chain): 血清フリーライトチェーン比が100以上
M (MRI): MRI検査で5mm以上の病変が2箇所以上ある

CRAB症状

臓器障害の有無を確認するための基準が「CRAB(クラブ)症状」です。
C (Calcium): 高カルシウム血症
R (Renal): 腎障害
A (Anemia): 貧血
B (Bone): 骨病変
これらの症状のいずれかが認められ、かつ骨髄腫細胞の増殖が確認された場合、多発性骨髄腫と診断され治療が必要となります。

無症候性骨髄腫と症候性骨髄腫

CRAB症状がなく、SLiM基準も満たさない場合は「無症候性骨髄腫(くすぶり型骨髄腫)」と診断されます。この段階では直ちに治療を行わず、定期的な検査を行いながら経過観察(無治療で様子を見る)となることが一般的です。一方、症状や臓器障害がある場合は「症候性骨髄腫」として速やかに治療を開始します。

多発性骨髄腫の治療方法

薬物療法(化学療法)の種類

治療の中心は薬物療法です。現在は、従来の抗がん剤に加え、以下の3種類の薬剤を組み合わせて使うことが標準的です。

  1. プロテアソーム阻害薬(ボルテゾミブなど)

細胞内の不要なタンパク質を処理する酵素を阻害し、骨髄腫細胞を死滅させます。

  1. 免疫調節薬(レナリドミドなど)

免疫細胞を活性化させたり、がん細胞への栄養供給を絶ったりします。

  1. 抗体医薬(ダラツヅマブなど)

骨髄腫細胞の表面にある目印にくっつき、免疫細胞に攻撃を促します。

これらにステロイド薬を併用し、効果を高めます。

自家造血幹細胞移植

65歳未満で体力がある患者さまの場合、より強力な治療効果を得るために「自家造血幹細胞移植」が検討されます。これは、あらかじめ自分の正常な造血幹細胞を採取・保存しておき、大量の抗がん剤を投与して骨髄腫細胞を徹底的に叩いた後、保存しておいた幹細胞を体に戻す治療法です。これにより、長期間の病気のコントロールが期待できます。

放射線治療

骨の痛みが強い場合や、腫瘍が神経を圧迫して麻痺などの症状が出ている場合に、局所的に放射線を照射する治療を行います。痛みを和らげたり、骨折のリスクを減らしたりする効果があります。

対症療法(支持療法)

がんそのものに対する治療だけでなく、症状を和らげる治療も重要です。骨を丈夫にする薬(ビスホスホネート製剤やデノスマブ)を使って骨折を防いだり、貧血に対する輸血や造血剤の使用、感染症予防のための抗生物質投与などが行われます。

多発性骨髄腫の新しい治療選択肢

免疫細胞療法

近年、がん治療の分野で注目されているのが、患者さま自身の免疫の力を利用してがんを攻撃する「免疫細胞療法」です。手術、抗がん剤、放射線に続く「第4の治療法」とも呼ばれています。私たちの体には、本来がん細胞を排除する免疫システムが備わっていますが、がん細胞はその監視をかいくぐって増殖します。免疫細胞療法は、体外で免疫細胞を強化・増殖させてから体に戻すことで、再びがん細胞への攻撃力を高めようとするアプローチです。

CAR-T細胞療法

多発性骨髄腫に対する最新の免疫療法として、「CAR-T(カーティー)細胞療法」が承認されています。これは患者さまのT細胞(免疫細胞)を取り出し、遺伝子改変技術を用いてがん細胞を認識するアンテナ(CAR)を取り付けて体に戻す治療です。非常に高い効果が期待できる一方で、実施できる施設が限られていることや、副作用への厳重な管理が必要であることが課題です。

6種複合免疫療法

さらに、副作用が少なく、体への負担を抑えながら全身のがん細胞に対抗する手段として、「6種複合免疫療法」という選択肢があります。これは、免疫のチームワークに着目した治療法です。

私たちの免疫システムは、単一の細胞だけで動いているわけではありません。この治療法では、患者さまご自身の血液(約30cc)から、以下の6種類の主要な免疫細胞を同時に抽出し、活性化・増殖させます。

  • キラーT細胞
  • NK細胞
  • NKT細胞
  • γδ(ガンマ・デルタ)T細胞
  • 樹状細胞
  • ヘルパーT細胞

約3週間の培養期間を経て、1,000万~2,000万個だった免疫細胞を20億~50億個にまで増やし、点滴で体内に戻します。一つの細胞だけでなく、役割の異なる6つの細胞をチームとして機能させることで、より効果的にがん細胞を追い詰めることを目指しています。

6種複合免疫療法の主な特徴

  • 副作用が少ない
    • 自分の細胞を使うため、重篤な副作用のリスクが極めて低く、日常生活を送りながら治療が可能です。
  • 高い進行抑制効果
    • 2020年6月から2024年7月までの380名のデータによると、進行抑制率は約80%以上(A判定~C判定の合計)という結果が出ています。
  • 標準治療との併用が可能
    • 化学療法や放射線治療などの三大療法と組み合わせることで、相乗効果や再発・転移予防が期待できます。
  • 厚生労働省許可施設での培養
    • 細胞の培養は、国の許可を受けた高度な安全管理体制を持つ施設で行われます。
  • 全国で受診可能
    • 全国の提携医療機関で治療を受けることができます。

標準治療の効果に限界を感じている方や、副作用が心配な方、再発予防を強化したい方にとって、希望となる選択肢の一つと言えるでしょう。この治療法についての詳細な資料や、治療が可能な医療機関については、以下のリンクからお問い合わせが可能です。

参考:6種複合免疫療法について

【がんの治療の選択肢としておすすめする「6種複合免疫療法」

副作用が少なく、他の治療と併用できる!


6種複合免疫療法は、患者さま自身の免疫細胞を一度体外へ取り出し、活性化・増殖させて体内へ戻すことで、がんと闘う力を高める免疫療法です。

治療法は採血と点滴だけの通院治療です。

6種複合免疫療法をおすすめする理由

  • がん3大療法との併用が可能で、ほぼ全てのがんに対応する
  • 副作用が少ないため、体への負担も小さい治療法である
  • 入院が必要ないため、患者さまの生活のリズムを変えることなく治療を行うことができる

がん治療の選択肢の一つとして、6種複合免疫療法もぜひご検討ください。

今すぐ詳細を知りたい方は、以下よりお問い合わせください。

多発性骨髄腫の療養と生活の質

日常生活で注意すること

多発性骨髄腫の治療は長期にわたることが多いため、日常生活の管理が非常に重要です。規則正しい生活を心がけ、バランスの取れた食事を摂ることは基本ですが、特に腎機能が低下している場合は、水分の摂取量や塩分制限について主治医の指示を守る必要があります。また、無理のない範囲での運動は筋力維持に役立ちますが、激しい運動は骨折のリスクがあるため避けましょう。

感染予防の重要性

病気の影響や治療薬の副作用により、免疫力が低下していることが多いため、感染症対策は必須です。手洗い・うがいの徹底はもちろん、人混みを避ける、インフルエンザや肺炎球菌のワクチン接種(主治医と相談の上)を行うなどの対策を行いましょう。少しでも発熱や体調の変化を感じたら、すぐに病院へ連絡することが大切です。

骨折予防のための工夫

骨がもろくなっているため、転倒には細心の注意が必要です。家の中の段差をなくす、滑りやすいマットを敷かない、浴室に手すりをつけるなどの環境整備を行いましょう。また、重いものを持ち上げる動作や、体を強くひねる動作は背骨の圧迫骨折を招く恐れがあるため避けるようにしてください。

まとめ

多発性骨髄腫は、かつては予後不良な病気とされていましたが、医療技術の進歩により、長期生存が可能な病気へと変化してきました。早期に発見し、適切な治療を受けることで、以前と変わらない生活を長く続けている患者さまも数多くいらっしゃいます。

治療法には、標準的な薬物療法や自家造血幹細胞移植に加え、6種複合免疫療法のような新しい選択肢も登場しています。それぞれの治療法には特徴があり、患者さまの年齢や病状、ライフスタイルに合わせて最適なものを選択することが重要です。不安な点は主治医とよく相談し、納得のいく治療方針を見つけていきましょう。

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