6種複合免疫療法とは2つのコース
患者様の状況に応じた2つのコース
6種複合免疫療法では、患者様の状況に応じてがんの「予防」と「治療」に加え、がんの「スクリーニング検査」を提供しております。
がん治療
6種複合免疫療法「CSC」
がん治療をご希望の患者様には、6種複合免疫療法「CSC」をご提供致します。
6種複合免疫療法「CSC」では、6種複合免疫療法「BASIC」の技術にWT1ペプチドとがん幹細胞を標的とするペプチドを付加することで、有効性の高いがん免疫療法を可能にします。
WT1ペプチドは様々ながん細胞で発現しており、2009年に米国立衛生研究所(NIH)の研究グループから臨床上有用性のあるがん抗原として高い評価を受けています。樹状細胞がこのWT1ペプチドを認識すると、その情報をキラーT細胞、ヘルパーT細胞、NKT細胞に伝達します。それによって免疫細胞が活性化・増殖し、がん細胞を攻撃するサイトカインを放出してがん細胞を攻撃・死滅させます。
なお、一部のWT1ペプチドを使用する場合はHLA型(白血球の血液型)が適合することが条件になりますが、6種複合免疫療法「CSC」では、WT1の全配列をカバーする「全配列型WT1ペプチド」を用いているためHLA検査は不要です。すべての患者様に適応できます。
また、がんを作り出すと考えられている細胞はがん幹細胞(Cancer Stem Cell: CSC)と呼ばれています。
現在主流となっている外科手術、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療では、既にがん化した細胞が縮小しても、がんを作り出す幹細胞が残っていれば、再びそこからがん細胞が生み出され転移、再発をくり返すことが近年分かってきました。
6種複合免疫療法「CSC」では、がん幹細胞特異抗原、共通抗原を樹状細胞に認識させてがん細胞とがん幹細胞の両方を攻撃させます。
オプション
チェックポイントガード
チェックポイントガードは、6種複合免疫療法「CSC」に免疫チェックポイント阻害薬を付加するオプションです。
投与した免疫細胞の戦う力を最大限に引き出し、6 種複合免疫療法単独での治療に比べて「高い治療効果」が期待できます。
がん治療を阻む免疫チェックポイント
がん細胞は免疫細胞の働きを抑制する能力を持っています。がん細胞はこの能力によって、より大きな腫瘍へと成長します。免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞による免疫細胞の働きの抑制を防ぐ薬です。免疫チェックポイント阻害薬を使うと、免疫細胞はがん細胞からの抑制に対する防御力を上げることで、体内で活発に働くことができます。ただし、免疫チェックポイント阻害薬には、重篤な副作用を起こしやすいという問題があります。
戦う力を引き出すチェックポイントガード
チェックポイントガードでは、免疫チェックポイント阻害薬で免疫細胞の戦う力を最大限に引き出します。チェックポイントガードは、体外で免疫細胞に免疫チェックポイント阻害薬を付加することで薬剤の使用量を最小化しています。チェックポイントガードは免疫チェックポイント阻害薬の使用量が通常の薬剤投与に比べて少ないため、副作用の発生頻度や重症度が低くなると期待できます。
がん予防
6種複合免疫療法「BASIC」
がんのリスクが心配な方や、過去にがんの経験がある方にはがん予防・再発防止のための6種複合免疫療法「BASIC」をご提供致します。6種複合免疫療法「BASIC」では、6種類の免疫細胞を培養して活性化・増殖し、これらの免疫細胞を体の中に戻すことで、がんの発生・再発リスクを低減します。
特に、6種複合免疫療法で活性化されるNKT細胞は、サイトカインの一種であるIFN-γ(インターフェロンガンマ)を放出することで、免疫細胞のネットワーク全体を強化します。これによって、がん細胞を攻撃する体内の様々な免疫細胞を同時に活性化する強力な免疫活性(アジュバント)作用を持ちつつ*1-3、免疫細胞の長期にわたるがん攻撃記憶機能を獲得することが明らかにされています*4。
6種複合免疫療法では、NKT細胞を活性化することでIFN-γコントロール値と比較して1,200~2,000倍高いIFN-γの生産が測定されています。
- *1 Front Immunol (2014) 5:543
- *2 J Exp Med (2007) 204 (11): 2641-53
- *3 慶応義塾大学病院、理化学研究所 プレスリリース2018年3月12日
- *4 Front Immunol (2017) 8:1206
また、免疫細胞には、免疫が過剰に働かないようにブレーキをかける免疫チェックポイント機構が備わっています。しかしながら、がん細胞もこの機構を利用して免疫の働きにブレーキをかけ、免疫細胞からの攻撃を阻止しています。免疫チェックポイント阻害薬は、このブレーキを解除することで免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようにする治療法ですが、近年、活性化したNKT細胞を用いた進行性非小細胞肺がんの臨床試験において、NKT細胞が免疫チェックポイント阻害薬と同等の効果があると報告されました*4。
- *1 Front Immunol (2014) 5:543
- *2 J Exp Med (2007) 204 (11): 2641-53
- *3 慶応義塾大学病院、理化学研究所 プレスリリース2018年3月12日
- *4 Front Immunol (2017) 8:1206