6種複合免疫療法とは
6種複合免疫療法とは
倉持 恒雄(くらもち つねお)医学博士
1970年、東京大学医科学研究所へ入所。1971年、米国ミシシッピ大学医学部へ留学(文部省留学生)。
その後、カナダ・モントリオールのマッギール大学ロイヤルビクトリアホスピタル・クリニカルフェロー、オレゴン大学内科学・免疫部門助教授。帰国後、聖マリアンナ医科大学内科学講師・助教授、大学病院免疫科科長を経て、現在に至る。 医学博士。
免疫細胞を活性化・増殖させ、
がんと闘う力を増強させる。
6種複合免疫療法とは、がん免疫療法の1つで、私たちの体の中にある免疫細胞を一度体外へ取り出し、活性化・増殖させて体内へ戻し、がんと闘う力を増強させる療法です。
6種複合免疫療法を開発した倉持恒雄(医学博士)は、1970年代より米国、カナダの医科大学で免疫学を学び、以来40年以上にわたって研究を重ね、6,000人以上のがん患者様の細胞を培養し、がん治療に貢献してきました。
その中で、最初に抹消血中のリンパ球とNK細胞をフラスコの中で活性化・増殖させる培養方法を発見し、その後「NKT細胞」「γδ(ガンマ・デルタ)T細胞」「樹状細胞」「ヘルパーT細胞」を加えた6種類の細胞を同時に活性化・増殖させることに成功したことにより、現在の6種複合免疫療法が確立されました。
免疫細胞のチームプレー
6種複合免疫療法は、それぞれ役割が異なる6種類の免疫細胞が1つのチームとなって働くことで、より高い効果を目指します。
キラーT細胞指令に忠実に働く
キラーT細胞は、自分自身を証明する「証」を持っているがん細胞を破壊することができます。しかし多くの場合、がん細胞は自分自身を証明する「証」を隠しているため、すべてのがん細胞を破壊することができません。キラーT細胞は、CTL細胞(細胞障害性Tリンパ球)とも呼ばれています。
NK細胞がんを見つけ次第、退治する
NK(ナチュラルキラー)細胞は、常に体内をパトロールしています。がん細胞を見つけると直ちに攻撃を開始し、がん細胞を破壊します。NK細胞は「証」を持っているがん細胞も、隠しているがん細胞も見つけ出し、直接攻撃・破壊することができます。しかし時には「証」を持っているがん細胞を取り逃がしてしまうこともあります。
NKT細胞自らも戦う、がん治療の究極の助っ人
キラーT細胞とNK細胞の問題を解決できる、両方の性質を持つ新しいタイプのリンパ球です。自分自身を証明する「証」を隠しているがん細胞を見つけ出し、直接攻撃・破壊することができます。がん治療において究極の助っ人のような存在で、抗がん剤や放射線で傷害を受けた細胞や組織の修復もできることがわかってきました。
γδT細胞抗腫瘍作用でがんを退治する
γδ(ガンマ・デルタ)T細胞は強力な抗腫瘍作用をもち、自分自身を証明する「証」を隠しているがん細胞でも排除します。また、感染初期の免疫反応に応え、感染症から全身を防御したり、傷害を受けた細胞や組織の修復を助ける働きがあります。
樹状細胞敵の情報を入手し、攻撃目標を伝達
抗原提示細胞とも呼ばれ、門番のような存在です。体内に侵入してきた異物(抗原)をいち早く見つけ出し、その情報をヘルパーT細胞に伝え、免疫反応が起こるようにスイッチを入れる役目をする細胞です。
末梢血中の樹状細胞は未熟であり、がん抗原を認識することが困難です。樹状細胞が成熟するためには活性化したNKT細胞の存在が必要です。株式会社 同仁がん免疫研究所では、NKT細胞を活性化し、樹状細胞を成熟させる特許技術を持っています。
また、成熟した樹状細胞は体内でNKT細胞を活性化、増殖させます。新樹状細胞獲得免疫ワクチン療法は、成熟した樹状細胞に全配列型WT1ペプチド抗原、がん幹細胞ペプチド抗原を認識させて、がん細胞を攻撃する強力な免疫反応を引き起こさせます。
ヘルパーT細胞免疫の司令塔となる
ヘルパーT細胞は、免疫の司令塔と言われる細胞です。樹状細胞から異物(抗原)の情報を受け取ると、免疫活性化物質(サイトカイン)を放出してキラーT細胞やNK細胞などの各実行部隊に攻撃の指令を出します。
採血と点滴による治療
6種複合免疫療法では、30㏄の採血により一度体の外に免疫細胞を取り出し、6種類の免疫細胞を培養によって同時に活性化・増殖させます。約3週間の培養により、1,000~2,000万個だった細胞が、20~50億個にまで増殖します。活性化・増殖した免疫細胞を点滴の形で投与し、再度体の中に戻します。
6種類の細胞を活性化・増殖
(1,000〜2,000万細胞で培養開始し、20〜50億個へ増殖)